上田市「小さなパン屋 ココノカ」可愛らしい素敵なパン屋さん


小さなパン屋 ココノカ
場所 長野県上田市塩川600-10 [地図はこちら
駐車場 あり

宮脇檀

私の師匠筋に宮脇檀という建築家がいる。…といっても学校の先生が彼の孫弟子にあたる方で、実際にお行き会いした事はなく著書をほぼ読破し、講演会に幾度か行かせていただいた程度という、かなり無理やりな”筋ではあるが。彼の作品と出会って建築を目指したのだから、そういう事にさせておいてもらいたい。

様々な作品を手掛けたが、主に住宅それも都市に建つ小規模な住まいづくりを主戦場とした建築家だった。卓越したアイデアをハイセンスなデザインとユーモアで住宅を造り上げる。住宅のうまい作家はたくさんいるが、「住みたい」と真剣に思わされる作家はこの方以外にいない。

houseとhome

その宮脇が引き渡しの際に、施主に対して必ず言う言葉があったのだそうだ。それは
「われわれが造り上げることが出来るのはhouceでしかありません。homeを造るのはあなた方しか出来ません。」
であったという。houceとは住宅本体そのものを、homeとは家庭を指す。住まいとは建築だけで完結はしない。そこに住み、家庭を育むことで完成するのだ。どのような大建築家であろうと、名棟梁であろうと造る事が出来るのは器でしかなく、そこから先は住まい手の努力するしかないのだ。という事となる。まことに深い言葉であると思う。われわれの力など小さなものなのだ。所詮はお手伝いでしかない。この事を常に胸に日々住まいを造り続けている。

私が建築の仕事を始めてから30年を超えた。
これまで携わった住宅はいったい何軒になるだろう。大きなマンション建設から、ごく小規模な改装まであわせて1,000くらいにはなるのではないか。どの家も大事に大切に使っていただいている。そして何よりの幸せは、私の想定以上の使い方をして下さっているお宅と再会することだ。先の言葉が実現したようで、望外の喜びとしか言いようがない。

「小さなパン屋 ココノカ」

この2月4日にオープンされたばかりのパン屋さんである。旧丸子町の住宅を改装した店舗は、名の通りとても小さな空間しかない。しかし、こちらで扱われる品の多様性がすごい。食パン、ベーグル、マルチシリアル、調理パンなどのパン類はもとより、ケーキやキッシュといったものまである。毎度のだが、凄まじい目移り症状に見舞われてしまう。毎度の事だが、迷いに迷って以下を購入した。

「タマゴサンド」

細身ではあるが、ふかふかで表面がパリッと仕上げられたコッペパンと、とろとろタマゴサラダとの幸せな出会い。こういうパン好きだなぁ。あまりマヨネーズが効いていないのもよい。

「キッシュ」

キッシュといえば、欧風玉子焼きというようなイメージを持っていたのだが、こちらのキッシュはブロッコリーをはじめとした様々な野菜類と、ゴロゴロのベーコンとが大量にはいった豪華版である。美味い美味い美味い。ホールで食べたい。可愛らしいサイズではあるが、けっこうなボリュームだ。家内はこれひとつでお腹いっぱいとなってしまったそうだ。

その他、いくつか購入したのだがまだ食べていないのでレポートはおいおいと行わせていただく。

じつはこちらの店舗は、私が手掛けたさせていただいたものなのだ。”手掛けた”といっても、ご要望を伺って図面にしたところまでだから、貢献度からすれば数パーセントといったところだろう。とはいえ、このようにかたちになっただけではなく様々なパンが、…そして大変美味しいパンが美しく並んだ姿は、私の想像を遥かに上回った、最上の空間となりえていた。素晴らしい。

とても小さくて、月に9日間しか出会えないパン屋さんだが、とてつもない幸福感と美味しさに溢れている。ぜひ皆さんもお試しください。

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