【映画days #5】アンドレイ・ルブリョフ あるいはもっともわかりやすいタルコフスキーについて


「アンドレイ・ルブリョフ(1967)」を観た。
タルコフスキー特集ラストを飾る、3時間の大作である。

15世紀を生きたイコン画家で、ロシア史上、最大級の芸術家と言われる、アンドレイ・ルブリョフの生涯を描いた作品である。といって、史実を追うのではなく、かれの生涯で起きたエピソードや、同時代に起きた出来事を元にして、大胆に脚色されている。



物語はプロローグ、エピローグそして間に8つの章をはさんで語られる、そんな形式だからか、タルコフスキーとしては、もっとも取り付きやすい作品かもしれない(わかりやすい、とは言わないが)。内容はいつものタルコフスキーである。美しい画面(エピローグ以外はモノクロだが)、清らかな水のある風景、そして哲学的に紡がれる会話の連続。アナトリー・ソロニーツィンがタルコフスキー作品初登場で主役アンドレイ・ルブリョフを演ずる。のちの常連俳優(総作品数10本中4本出演)は、まだ初々しくも重厚感あふれる演技をみせる。ないのは「超時空間カットバック」くらいだろうか。さすがに、アバウトとはいえ「史実」という枠があると使えないか。



また、第4章での異教徒の祭り、あるいは第6章のタタール人の襲来のシーンなどはじつにスピーディで、迫力のある場面の連続で、ほとんど娯楽映画じゃないか。と思わされるほどだ。タルコフスキーもこのような演出ができる作家だったのかと、認識を改めさせられた。これで、アンドレイの生涯なり、ロシア史の素養があれば、もっと楽しめるのであろうが、これは仕方のない事でもある。

時に賞賛され、時に妬まれ、邪魔にされ妨害される。芸術の前には妥協する事が出来ず、周囲から人が去っていく様は、「ルブリョフ」を通してみた「タルコフスキー」である、というのは簡単すぎる見立てであろうか。

つくづく、30年前に観ないでよかった。あの頃であれば確実に夢の中であったろう。もちろん、現在でもあまり変わりはしないのだが。
まだまだ、勉強も足りない、鑑賞眼もない状態である。「ストーカー」同様、あと20年、いや30年後にまた観てみたい作品であった。


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