【読書days #1】自分ぶっ壊しセラピー


はじめに

人間ながく生きていれば、思い悩むことがない、などということはあり得ない。自ら置かれている立場と、周囲との板挟みとなり、あれこれとあたまを使ったり、仕事に趣味に家族に友人と、人間関係に悩んだり、あたり一面もやもやと、いらいらとすることだらけなのにうんざりする事が多い。

「50すぎれば悩みはなくなるよ」
などと、諸先輩から言われていたが、なるほど確かにその通り。このところ、あまりもやもやしないなぁ、と心浮き立っていたのだが、よくよく考えてみると、悩む事がなくなったわけではない。面倒だから悩まなくなった、考えなくなった。という事に気づき愕然とした。「五十にして天命を知る」どころの騒ぎではない。

そして、なおのこと困ったことに、近年は悩みを持ち込まれることが多くなった。あーでもないこーでもないと、相談されても正直なところ困惑するばかりである。

50歳のなげき

相談といっても、仕事関係の、しかもお客様より受けることが圧倒的に多い。

「この土地でよいのか?」
「35年もローンを返していけるのかしら?」
「そもそも、家なんか持ってよいのか?」
「私は同居なんかしたくない!」

オレは設計屋だっつーの
建物の性能や、法的な見地を述べる。というのならまだしも、これでは人生相談である。そんなに思い悩んで決定できないのなら、家づくりなんてやめてしまえばよいのでは。と、言ってやりたい衝動にかられるが、それを言っちゃァおしめーよ。よそ様に迷惑をかけることになるし、そもそも生計を立てることが出来なくなってしまう。そんなこんなで、今日も嫁姑問題や家庭内争議に耳を傾けるのである。

かような事で参っているようでは、カウンセラー、セラピストのような仕事は絶対に出来ない、と確信する。いや、そんな事があろうはずもないが。

手に取った理由

友人・知人の中で、かくなる仕事をされている方がいる。折にふれ、その姿をみるにつけ、真摯な態度に感服するばかりである。よく話を聞き、相談にのり、親身になりきる、ああこの人たちは、とことん「人好き」なのだと。

自分ぶっ壊しセラピー
山志多みずゑ 廣済堂出版 2011年
ISBN 978-4331515556


じぶんぶっ壊しセラピー

この書を手に取ったのも、理由などほとんどない。「ぶっ壊し」というフレーズと、「セラピー」というフレーズの組み合わせに違和感を持った。これが理由といえば理由であろう。

自分ぶっ壊しセラピー

5つに章立てされ、各々10の設問に著者が答える、という形式である。ひとつひとつは殊更難しい問題ではない。

「なにをしても後悔しちゃうんです。正しい選択ってありますか?」

という問いかけがある。
「後悔先に立たず」
というではないか。いちいちくよくよしていたのでは、世知辛い中、生きてゆくことすらままならぬ。気にせずさっさと前を向け。と、私なら言い放つであろう。

しかしながら、著者は間違っても、そんな乱暴なことは言わない。

尊敬するねぇ!
後悔したとはいえ、まずちゃんと、チャレンジしたってところが素晴らしいじゃないですか!最初から「無理」って諦めて、手もつけず行動しない人より、どんだけすごいか!あなた、アッパレじゃないですか!

もう少しのところまで来ているのだ、まだ到達していないから、「後悔」しか感じられないのだ。だから、もう少しだけさきに進んで、後悔の「先」にあるものを見に行こう。という。

そもそもなぜ、行動したのに後悔するのか?それはまだ迷っているからではないか?ともいう。何を選んだところで、失敗にはならない。いろいろな意味で「学び」が用意されているのだ。後悔しない覚悟も必要だ。自分の選択にも自信を持とう。

たとえそれがどんな展開になったとしても、あなたが本気で取り組めば取り組んだだけ、「学び」というご褒美が与えられますから。

こんなものもある。

「いつも失敗して怒られてばっかり、なんでも器用にできるようになりたい!」

じつは、私自信が密かに考えていることだったりする。いや、この歳となり、失敗することも、怒られることも少なくなったが、
「もう少し、上手く立ち回れたらな」
と、思う瞬間がないでもない。私だけではなく、誰しも持っている普遍的な問題なのかもしれないが。

著者の回答はじつにシンプルで明快だ。
なぜ苦手なことをしようとするのか。そんなことに費やす時間が、もったいないのではないか。

苦手なことを平均点をとるために、がむしゃらになって取り組むのと、すでに平均点、もしくはそれ以上のスキルを活かして取り組むのと、どっちのほうが自分や世の中のためになると思います?

ゼネラリストよりはスペシャリストになれ。と、説く。じつにシンプル・明快かつ熱い答えであると思う。こういうところが、この著者のもっとも好ましいところなのだ。

まとめ

巷に溢れる「セラピー本」には、民間療法や伝承をベースにして語り続けたり、またはスピリチュアル、あなたの前世にあるチャクラのステージが上がってアセンションした。というアレに走ったり。いや、そういう世界も、面白くないでもないのだが、貫かれるとなれば、閉口にも感ずる。

難しいこともなければ、神秘的でもない。誰にでも理解できる言葉と、どこででも通じる気持ちで相対してくれる。著者の優しさと、真摯な気持ちが染み入ってくるような一冊であった。

追伸として

著者の語りかけが、江戸言葉というか、口語体というか最初は少し気になるのだが、読み進めるうちに、これが心地よくなってくる。なるほど、内容にあわせた、計算しつくされた手法であると思う。いずれにせよ、ポンポンとリズミカルに語られる口調がとてもよい。著者の演歌を、聴いてみたいものだ。

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One Reply to “【読書days #1】自分ぶっ壊しセラピー”

  1. いやはや 光栄至極でごぜぇやす
    演歌は「氷雨」で!(笑)
    天にも昇る心持ち
    心のこもった感想に深く感謝いたしやす

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