長野市「ポルカドットカフェ」本日の日替り定食


ポルカドットカフェ
場所 長野県長野市鶴賀権堂町2390-1 [地図はこちら]
電話 026-225-9197

ヒマなとき

基本、ヒマな時には本を読む。というのが習慣であったが、老眼が進行するにつれ紙を見つめるのが辛くなり、どうしてもテレビやネットに頼ることとなる。またしても老眼が進行する、という悪循環の繰り返しとなる。ヒマなら野山を巡り、緑や遠くを眺め視力の回復に努めればよいではないか。との暖かい意見もいただくのだが、残念ながら聴く耳をもつわけがない。
YouTubeに飽き、ネットサーフィンも飽きたらウィキペディアを眺めることが多い。フリー・オンライン百科事典というだけあって様々な事柄が記載されておりじつに楽しめるのだ。「海軍乙事件」などというシブい項目があったりもする。
“誰でも編集できる”百科事典だから、間違いやミスがあったりするが、そこは気をつけながら読み込んでいくのがコツだ。情報はなんでも受け入れればよいというわけではない。

定食の定義

先だって、「定食」という項目で面白い記載を見つけた。日本クラウンタクシー友の会というサイト(現在は閉鎖されている)の定食定義研究会ページにおける”定食の定義 5条件”が記載されている。

1.白飯、味噌汁、おかず2品以上 (主食、汁、主菜、副菜)
2.定食は5種類以上のバリエーションがあること
3.内容のわからない定食名は禁止
4.「お定食」「○○定」は禁止
5.1000円を超えてはならない

わはは
どういう経緯で、どのような過程を経て作られたものかはわからないが、どこまでもまじめにふざける、という事が徹底されていて楽しくてならない。3. 4.などは納得どころか大いに首肯できる事だ。5. はちょいちょい破られているが。

「ポルカドットカフェ」

鶴賀権堂町の古家をリノベーションしたカフェである。お邪魔するのは2度目だが、”らしい”佇まいが気に入っている。そして、先の定義に接して真っ先に思いついたのがこちらの日替り定食だったのだ。

「本日の日替り定食」980円

 

店内に入るなり、日替りのメインメニューを選択せよと小さな黒板を提示される。
・塩鶏ゆずこしょう焼
・イカの南ばんづけ
・ほっけの中華あんかけ
この3品が用意されているという。こういうのは困るのだ、優柔不断だから。
「イカの南ばんづけ」とするまでどれほどの時間わ要したであろうか。しかし、その時間は無駄ではなかった事はすぐさま証明される。
そもそも、こちらの日替りはごはん、味噌汁、のほかメインを含め5種のおかずが登場する。

今回は
・イカの南ばんづけ

・梅肉豆腐

・ズッキーニのエスニック炒め

・ポテサラ

・こんにゃく土手煮

という構成だ。
メインはイカだけでなく豆アジ、にんじん、玉ねぎがどっさりと入りさっぱりと仕上げられている。梅肉豆腐は梅の味わいで、酸味といっても違った展開をみせる。ズッキーニの軽い辛味はよし、ポテサラはマヨネーズっぽくないのもよし。こんにゃくの懐かしさがたまらない。

わけのわからない名前でもない、1000円未満というのもよし。まさにまったく定義通り、いやそれをはるかに超えるといって支障はないだろう。ウィキペディアも悪いものではない。

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上田市「松乃家 上田店」しっかり盛合せ


上田市「松乃家 上田店」
場所 長野県上田市国分1-9-8
電話 0268-28-5156
駐車場 あり

久しぶりに東信地区、と思ったら佐久から小諸経由、丸子行き最終地点上田、という極端なルートである。アタマも身体も気もつかい疲労困憊。ひと休みしたいところだが、時分もすぎている、昼寝よりも腹がへった昼メシだ。ということでランチ場所探しである。

「松乃家 上田店」


いろいろ検討したが、上田市街地まではもたないし、仮に行っても駐車場探しが億劫なので、手前で探すとしよう。せっかくだからあまり入ったことのないところにしよう。そんなコンセプトで決めた店である。
数年前に一度、それも夜中に入ったのでよく分からなかったのだが、どうやらこちらは松屋系列らしい。松屋といえば牛丼屋さんだか、それだけに拘らず様々な定食メニューのある、好きなタイプなのである。ということでなんとなくこちらも気に入ってしまった。


「ロースかつ&カキフライ定食」830円

"ボリューム満点!盛合せ定食"と冠されたシリーズのひとつである。とりあえず今はカキフライを欲したので選択した。双方とも小ぶりではあるが、しっかり揚がっている。美味い。豚肉は脂身がある方を好むが、これはこれでよろしい。塩があればもっとよいのだが。

カキフライもよい。

いつぞや某ファミレスのを食べたが、洗浄を徹底したせいかクセがなくなりすぎて逆に不自然な味わいとなってしまっていた。その点、こちらのカキフライは牡蠣の味、牡蠣のクセが残っていて好感度高し。タルタルソースには玉ねぎが大量に入っていてこちらもよい。

ということでますます気に入った次第。長野にも出来ないか。


上田市「太郎茶屋 鎌倉 上田店」甘味処の甘い誘惑


面倒な方々

実の息子が言うと支障もあるし、お叱りをいただく場合もあるのだが、わが両親はいろいろ問題のある人物であるといえる。いや別に犯罪者だったり、反社会的勢力に属していたりするわけではなく、いたって普通な人びとである。具体的に列挙していくと長くなるので割愛するが、一般的に「めんどくさい」ジャンルに入るとだけ言っておこう。
しかしながら彼らとて人の子、美徳のひとつやふたつは持ち合わせている。中でももっとも美しく感じられ、私自身影響を受けているのが「差別をしない」「物事に公平」であることだ。とくに食べ物の差別・区別に関しては極端に毛嫌いしていた。両名ともに欠格家庭に育った関係上、その手の事でさんざんと嫌な目にあってきたためだという。まことに天晴れ、褒めてつかわす。などと言うと叱責されるだけだが、これは子々孫々受け継いでいくべき事である。そんなわけだから、様々なところに連れて行ってもらえたと思う。子どもだから悪所にいったり、さほど高級なところへ赴くわけもないから大した場所でもなかったろうが。

母について

とはいえ、これは母親の方だが一箇所だけ同行する事に、よい顔をしない場所があった。それはなぜか「甘味処」だったのだ。連れて行ってもらったことが皆無なわけではないのだが、2回あったかなかったか、というくらいだ。いつぞや上野の街角で見つけた甘味処で
「お母さん、お汁粉食べに行こうよ」
といったら極端に嫌な顔をされたことをはっきりと記憶している。別に汁粉くらいどうということはない筈だが。
今にして思えば、彼女には、かの場所は酒場と同じだったのだ。甘いもの好きで酒を飲まない("飲めない"のではない、家庭のために飲まなかったのだ)ものにとっては、唯ひとつたった1人になれる場所、飾らなくともよい場所だったのであろう。そんなところにうっかりと子ども連れていくわけがない。そんなこんなで、甘味処なる場所に行けるようになったのは、二十歳をすぎてからであろうか。

「太郎茶屋 鎌倉 上田店」

ということで今回は甘味処である。こちらは姫路発祥の「甘味と和の空間」をテーマとしたカフェで、全国展開されているという。以前は長野市川中島にあったのだが、一年ほど前に上田に移転された。

「なっちょ⁈限定 鎌倉甘味三昧セット」500円

一時的な限定のセットではあるが、じつに豪華なコンビネーションである。

◯鎌倉わらびもち

本わらび粉を使用し、毎朝丁寧に練り上げたものだという。ほんのりとした甘さと、固体と液体の中間領域、といった歯ごたえ口ざわりがなんともいえない。

◯麩まんじゅう

まんじゅうの一種だが皮が違う。通常は小麦粉で作るものだが、これは生麩を用いて作り上げたもの。しっとりとした食感と、独特なモチモチ感が素晴らしい。

◯本日のアイス「苺のアイス」

苺の酸味、つぶつぶ感が小気味良く美味い。ただ、気温のせいか冷たくて固く、少々食べづらかった。

◯本日のプリン「ほうじ茶プリン」

ほうじ茶の香ばしさがなんともいえない。小豆も気が利いていてよい。

という4種類を熱いコーヒーとともに、ゆっくり楽しませてもらった。味わいも良い、落ち着いた和の空間もよい。以前よりは狭くなったが、これくらいのボリュームの方がよかったのではないか。

以上久しぶりの甘味処であった。
いずれ母が来た時に連れてきてやろうかと考えた。

 

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須坂市「鮎川バーベキュウ」一見さんと”Less is more”


鮎川バーベキュウ
場所 長野県須坂市八町上八467 [地図はこちら]電話 026-245-6262
駐車場 あり

須坂の街は豊穣なり

と言ったのは、名のある文豪ではなく私であるのが恐縮でならない。とはいえ、さして広い範囲でないに関わらず、様々な史跡や文化財かひしめくように存在するのは、ひとえに旧中山道の集積地であったからではないか。人と人とが衝突する地、文化の交錯地には他とは違った文化が花開くのだ。それらを紹介するわけにはいかないが、強いて一点のみあげれば八丁鎧塚古墳。規模こそ小さいが、ロケーションといいシチュエーションといい、「勇壮な」という形容がぴったりな史跡はない。もう少し有名になってもよいと思うのだが。

鮎川バーベキュウ

その八丁鎧塚古墳にほど近い街道筋にこの店はある。ある意味、須坂の”豊穣”の到達点ともいえるこちらをご紹介できることを、心より幸せに思う。
かつて、木造建築物に頻繁に使われていた外壁用鉄板に覆われた建物は半世紀は経過しているのではないか。傍らには”鮎川バーベキュウセンター”と、大きくレタリングされている。幼少期、父に伴われていった青梅川の上流にあったなぁ。そんな感じである。

現在では見かけなくなった、薄いアルミの引き戸をカラリと開けると、内部はちょっとした広間となっている。大きな窓が南向きにいくつか設けられているためか、想像した以上に明るい空間である。たまたま居合わせたマダムが
「いらっしゃいませー、お一人ですか?」
?のニュアンスに不思議さを感じながら
「はいそーですよ。お一人様で初めてお邪魔したんですが」
と答えたら

「えええええええ!一見さんでお一人ですかァ?」

という極端なリアクションが返ってきた。どうやら近在の常連さんによく利用されている店のようだ。いやなに、美味いものがあれば一人でも二人でも、どこへでも参るのだ。それに海外に行くわけではない。
“一見さん”という響きがなんとなく気に入って、ウキウキとしながら個室に通される。四畳半の部屋は畳敷きで、北向きのためか少し寒気がする。隣では家族づれらしいグループがわいわい、楽しそうにしている。
メニューはお料理3品に飲み物、お食事5品とごくシンプルなものである。今回はベーシックコースとする。

「鉄板焼き(一人前)」540円 「ライス」170円

鉄板焼きといっても鶏肉のみである。これを備えつけのガスコンロで焼き、食べる。薄味がつけられているが、備えつけのタレを足した方がよいと思う。炊きたて熱々のごはんよし、自家製であろう野沢菜がまたよい。

足りない…
いや量が、という事ではない。サービスが足りない、室温が足りない、設備が足りない。しかし、これがよいのだ。

“Less is more”

といったのはドイツ人建築家 ミース・ファン・デル・ローエだ。

“少なきものこそ豊か”
というほどの意味だ。過剰な装飾を嫌った、モダニストらしい名言だ。これは現代にも十分通じる精神だと思う。
“足りない”からこそ”楽しい”。”足りない”からこそ”美味しい”。”足りない”からこそ”想像力”で補うのだ。
「便利なこと」は常に追求するべきであろう。われわれにとって、というより子どもやご年配の方、身体障害者の方たちのような社会的弱者のためにもより「便利」にしていくのは急務である。しかし「便利すぎる」ことは必要ではないのだ。それに現代は「便利にしなければならない」と過剰なほど、神経症的な状態にあるような気がしてならない。

最後はほっこりと

美味しい鉄板焼きを食べ終わり会計となる。先ほどのマダムは仕込みに一所懸命である。お母さまと思しき、年配の女性が対応してくれる。
「お初の方ですか?」
「はい、友人に聞いてお邪魔しましたがとても美味しかったです。」
「そりゃらよかったねぇ」
「今度は友人たちと大勢できますね」
「ありがとう、お待ちしてますね」
そんなやり取りが楽しくて。ほっこりした気分で店を後にした。

長野市「ゆめママキッチン」お母さんの豪快な…


ゆめママキッチン
場所 長野県長野市県町495 あがたまちテラス1階 [地図はこちら]
電話 026-217-6912

ゆめママキッチン

市立図書館の改装工事が終わった。一時は入り浸っていたものだが、老眼化してから足が遠のいてしまっていたので、しばらくぶりに訪れてみた。…のだが、火曜日は休館日であった。そんなことまで忘れているとは情けない。致し方ない、そこらで昼をすませて帰るかとぶらついていたらこちらと出くわした。通り沿いの大きな窓から、マダムたちが忙しそうに立働いているのが気になったのだ。入ってみよう。内部は12〜3坪はあろうかという、けっこうな広さのスペースである。テーブル席と小上がりになっている。まずは先にオーダーから。「なないろ定食」「週替わりみそ汁定食」など、いくつかのメニューとその他惣菜類も用意されている。

「食べるみそ汁定食」500円

そもそも具沢山の汁物が好きなのだ。無条件に注文してしまう。小鉢、3種の惣菜とともに大きなみそ汁椀ひとつ。うす味のみそ汁にはニンジン、大根、油あげが大量に投入されているうえに柔らかく煮込まれた玉ねぎが半分、ど真ん中にドンと鎮座している。とても豪快な一品だ。これは美味い。うす味すぎる、という人もいるかもしれないが、野菜の味がしっかりと分かってよい。とくに玉ねぎが甘くてよろしい。

「エリンギチーズフライ」108円

名の通りエリンギのフライである。衣に粉チーズを加えているらしく、香りがよい。エリンギの歯ごたえもよく、簡単だがなかなか複雑な味わいなのが高得点である。

調べてみたら、こちらは「ゆめサポママ@ながの」という会社が運営されているとのよし。
“子育て中のママがもっとイキイキと好きなことをできる地域社会を作りたいと願って誕生しました。そして、ママが輝けば、その一番近くにいる子どもたちも自然と輝けるはずです。”
なるコンセプトの元様々な事業をされているのだそうだ。このカフェもその一環であるという。なるほど、道理でマダムたちが多いわけだ。明るい店舗もみそ汁も気に入ってしまった。再訪決定だ。


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飯綱町「いいづなアップルミュージアム i-cafe」りんごにまつわるあらゆる…


【お店のデータ】
いいづなアップルミュージアム i-cafe
場所 長野県上水内郡飯綱町大字倉井5 [地図はこちら]
電話 026-253-1071
駐車場 あり

休みの日

休みであった。
ここ数日いろいろあったので休養に充てるつもりだったが、もったいない気になり出かける事とした。改装なった「野尻湖ナウマンゾウ博物館」を少々物足りないのでもう一つ。車で10分間ほどの「いいづなアップルミュージアム」へ。

いいづなアップルミュージアム

ここは、飯綱町特産品である「りんご」をフィーチュア博物館だが、その徹底ぶりが気に入った。りんごの品種や栽培法、効能などが語られるのは当たり前だが、後半のりんごコレクションが凄まじい。りんごがテーマの書籍・マンガはもとより、ビートルズ関係を始めとするレコードジャケット、映画のポスター、オモチャ、極めつきは場内の片隅にあるグレーのプラスチックの箱。よく見たら昔のマッキントッシュである。あゝアップルコンピュータか。統一感があるのか、混乱しているのかよくわからない展示である。

i-cafe

りんご博物館、そして併設のギャラリーで開催されていた展示(この日は戸田澄江というアーティストの個展)に圧倒された後、カフェで一休みすることに。あまりの「過剰さ」に疲労困憊したのと、受付の方に割引券を頂いたのと双方の理由があったためだ。それにしてもここはすごい。
この施設はりんごを四半分に断ち割ったような平面で、芝生広場をぐるっと回るような計画である。カフェはその広場がよく見える一画にあり、大きな窓から明るい日差しが燦々と差し込む、心地よい空間となっていた。さぁ何を頂こうか。

『おやき2個セット(デザート付)』

『ジビエカレー』『骨付きチキンカレー』に心惹かれたが、ここは長野県民らしく『おやき2個セット(デザート付)』を注文。おやきは野沢菜、キャベツ、大根、つぶあんから二種選べとの事だ。熟慮の末、野沢菜とキャベツを選択。

『野沢菜』

蒸し直され、手で持てないほど熱々である。細かく刻まれ、油炒めされた野沢菜はどこか懐かしい。子供時分に食べていた訳ではないのに。日本人のDNAに刻み込まれているのであろうか。これは永遠に美味い。

『キャベツ』

こちらはキャベツとその他に様々な野菜と共に油炒めされている。甘いキャベツと、ノビロであろう野趣な香りのする山菜とが合わさってとても美味かった。この味わいは、店舗ではなかなかお目にかかれない、お母さんの味である。

『デザート』

デザートは煮りんごにヨーグルトをかけたシンプルなもの。控えめな甘さとりんごの酸味がとても素敵な味わいだった。

すごい場所 いいづなアップルミュージアム

すごかった。あの物量、あの過剰さに圧倒されつくした。歴史は特定個人の「想い」で形成される。中尊寺は藤原三代が、金閣寺は足利義満の理想をかたちにしたものだった。こちらも同様なのであろうか。いつの日か、この施設を作った人に会ってみたい。


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長野市「食事処ひはら」遥かなり信州新町のDschinghis Khan


【お店のデータ】
食事処ひはら場所 長野県長野市信州新町日原西2159-1 [地図はこちら]電話 026-264-2331
駐車場 あり

Dschinghis Khan

ジンギスカンといえばモンゴルの始祖チンギス・ハーンの英語読みであるのだが、われわれ昭和の御代に青春時代を過ごしたものとしては、どうしてもあれを思い出してしまう。

そう、あの
♪ ジン、ジン、ジンギスカン!という、あの歌である。今回調べてみたらあれは西ドイツの「Dschinghis Khan」というグループが歌っているのだそうだ。「いる」と書いたのは、一度解散したものの2006年に再結成、現在も活動中だからだ。

Hu, ha, Dsching, Dsching, Dschingis Khan
He Reiter, ho Reiter, he Reiter, immer weiter
Dsching, Dsching, Dschingis Khan
Auf Brüder
Sauft Brüder
Rauft Brüder
Immer wieder
Lasst noch Wodka holen, oh ho ho ho
Denn wir sind Mongolen, ha ha ha ha
Und der Teufel kriegt uns früh genug

ドイツ語だから意味がわからない(英語でも分からないが)が、どうやら「若者よ!ジンギスカンのように激しくいけ!」というようなものらしく、大した意味はないようだ。メロディラインの面白さと、派手なパフォーマンスで魅せる、といった曲だ。典型的なPOPSと言えよう。

Appleミュージック

突然、何故こんな話題を出したかというと、Appleミュージックをなんとなく検索していたら、再会したからだ。MOON RIDERSはこの曲のカバーを断ったから、ヒットメーカー道を歩むことが出来なかったとか、昔はディスコでこれを踊っていたという義姉の話を思い出し、なんてダサい、…いや、のんびりとした時代だったのであろうか。などと考えていたら、あれを食べたくなったのだ。あれとはもちろんジンギスカンである。

あらためて、ジンギスカン

ジンギスカンとは羊肉、マトンやラムを使った焼肉料理である。何を今さら、と言われそうだ。一部地域で「ジンギスカン鍋」と鍋料理に分類されることがあるが、あれは独特な鍋を使う場合に言われるようで、実際には焼いて食べる様式である。これは日本起源の料理なのだそうだ。ジンギスカンが遠征の際に、兵士の兜を用いて作らせた。といわれもするが、あれは根拠のない俗説であるとの事だ。

信州新町

ジンギスカンといえば北海道が有名だが、長野市信州新町のそれも、そこそこ知られている。1930年代から彼の地で始まった、綿羊飼育がその始まりで、綿羊以外の使い方がないかと様々な研究を経て現在の形式となったという。羊肉のくさみを減らすために、信州りんごを使うのがポイントとのことだ。ちょうど松本からの帰途でもある。信州新町経由でジンギスカンを頂くこととしよう。

「食事処ひはら」

新町のジンギスカンといえば「さぎり荘」が有名であろう。少し高いが、定評通り美味しいジンギスカンを食べさせてくれるのだが、その実何度となくお邪魔しているので新鮮味がない。そこで、別の店を探すこととした。HPやグルメマップなどを検証したが、たくさんありすぎてひとつに絞れない。結局、1時間ほどかけて決めたのがこの店だ。

アクセス

長野から国道19号線を松本方面へ向かい、信州新町市街地を越え、数キロ先の道沿いにある。昔よくあったドライブイン風の建物である。テーブル席と小上がり席のある、けっこう大きな店だ。写真映りの関係で、明るいテーブル席を選択。少々せまいが、広く見渡せるので気持ち良い。

お品書き

メニューを眺めると、ジンギスカンが主ではあるがざるそば、ざるうどん、もつ煮定食、カレーライスなども用意されており、必ずしも専門店ではないようだ。貼り紙箇所は冬メニューである「おでん定食」が表記されているという。
「今日は材料があるので対応できます」
とのことで、隣席のマダムが注文していた。もちろん私はジンギスカン一択である。

ジンギスカン定食

ご飯、味噌汁、タレ、キムチ、小鉢ものは冷奴、そこに野菜とジンギスカンの盛り合わせとなる。黄金パターンともいえる展開のお膳である。

冷奴、キムチ、ご飯、味噌汁

こちらの冷奴は玉ねぎに中華ドレッシングというサラダタイプ。久しぶりに洋がらし付きでない冷奴と出会った。キムチはけっこう辛い。もう少し酸味のある方が好きだが、これはこれで美味いものだ。たまに、甘いキムチがあるが、あれだけは許すことが出来ない。もちろん炊きたて熱々のご飯に、油揚げ・わかめ・玉ねぎの味噌汁はごくスタンダードな存在だといえる。

そしてメイン

野菜類は玉ねぎ、キャベツ、カボチャ、にんじん、エノキがてんこ盛りである。ジンギスカンは120gほどであろうか。ほどほどにサシの入った紅色はとても美味そうだ。

いざ焼くべし

まずは火の通りづらい野菜から。といって焦がしては興ざめである。エノキはデカくてよろしい。

肉質

しっかりしているが柔らかい、そんな感じか。羊肉はクセがあるというが、さほどでもないところをみるとラム肉であろうか。淡白な味わいがよろしい。信州りんごを用いたタレをたっぷりも美味いが、卓上の一味唐辛子でも美味い。井之頭五郎であれば、おかわりを行くところだが、ここは自重しておこう。

またしてもDschinghis Khan

腹もくちくなった、帰ろう。もちろんBGMは「ジンギスカン」である。あの、勢いよくもどこかもの悲しい、そしてヤボったい曲にしばらくハマりこみそうである。


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長野市「ごくろう山」ながののエベレスト


【お店のデータ】
ごくろう山
場所 長野県長野市真島町川合332-3 [地図はこちら]
電話 026-284-7283
駐車場 あり

エベレスト

ネパールと中国の国境上に位置する、ヒマラヤ山脈の一、標高8,848mを誇る世界最高峰である。その神々しいまでの威容は、吸い込まれんばかりの輝きを放つが、山肌はまさしく難攻不落、幾多の勇者どもを跳ねつけ、蹴散らしてきた砦ともいえるのだ。

第三次エベレスト遠征隊

中でもイギリスの第三次エベレスト遠征隊のエピソードが最も劇的、かつ有名なものであろう。19世紀において失墜しきった国威を発揚せんと、当時最大の秘境であったエベレストを制覇を狙ったがことごとく失敗した。しかし、1924年6月に行われた第三次遠征隊では、登頂まで後一歩というところで2名のアタッカーが遭難、失敗に終わった。しかし、その成否を証明するものはいないため、90年近い年月が経過した現在でも、議論は続いている。

ジョージ・マロリー

アタッカーの1人、ジョージ・マロリーほど有名な登山家はいないだろう。当時最高のアルピニストというだけではない、彼の残した言葉ほど後世へ影響を与えたいものはないであろう。すなわち
そこに山があるからだ

この言葉は、1923年3月18日付けのニューヨーク・タイムズの記事に現れる。その記事で、「なぜあなたはエベレストに登りたいのですか(Why did you want to climb Mount Everest?)」との質問にマロリーは、”Because it’s there.”と答えている。 Wikipedia

「そこに山があるからだ」は意訳と言うべきであろう。文脈上’it’はエベレストを指すから、厳密には「そこにエベレストがあるからだ」となるはずだが、それはまぁよいではないか。私が登るのはエベレストではない。

私の山 ごくろう山

私の山は長野市真島にある。
だいだい色に彩られた高い山を制覇するのだ。一年ぶりであろうか、久々の野望を胸に、この地までやってきたのだ。ごくろう山。道路拡張工事中で、駐車場が機能せずにお困りだがいつもの通り満員だ。

「唐揚定食」850円

山とはこれのことだ。揚げたての巨大な唐揚げが山積みされている。ひとつが子供の手のひらほどのサイズである。箸で持ち上げると、とても重く感じる。これが6個搭載されてくるのだ。

滋味深い

しっかりと味つけはなされているが、傍のマヨネーズを用いると、一層味わいが深くなる。山を盛り立てる脇役ども。控えめな量のご飯。がんもと厚揚げの煮物はあっさりで美味し、漬物はどこまでも優しく、わかめと玉ねぎの味噌汁は最高だ。


エベレスト同様、制覇するのに大変な労苦を要する。ファーストステップ、セカンドステップ様々な要衝が私を待ち受ける。負けてなるものか、登頂まであと一歩だ。


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長野市「とんかつ健」立てるは肉の…


【お店のデータ】
とんかつ健
場所 長野県長野市箱清水2-12-21 [地図はこちら
電話 026-234-1404
駐車場 あり

明治は遠くに…

明治45年は西暦でいえば1911年。したがって、100年以上が経過したこととなる。社会体制も生活習慣も、話し言葉も食べるものも現在とはずいぶんと違ってしまったようだ。思えば遠くに来たものだ。などと観て来たかのように語ってしまうが、とはいえそこは同じ日本人、いや、現代のわれわれの基になだけあって、心情的な部分ではあまり変わってはいないようだ。

智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。

とは夏目漱石「草枕」の冒頭部分である。
理屈をいってもだめ、情にほだされても、我をはってもよろしくない。であれば、気にせずわが身のことたけ考えていれば良いのだが、つい周囲をみてしまう。何事も上手くいかないものだ。こんな文章を読んでいると、明治の文豪にも親近感が湧いてくるというものだ。

あゝ日本人

近年、「忖度」なる言葉が流行したがあんなものは身近なそこここに転がっていることだ。要するに「空気を読んで上手くやれ」という言葉だ。何を今さら、騒ぎ立てるようなことではない。「圭角(かど)」さえ立てなければ問題ない、と考える。
そんな事だから失敗もする。何度やらかしちまった事か。あんな時こんな時なってなかったよなぁ。なんてことはしょっちゅうだ。そんな事は私だけではなく、どこの誰にでもある事だし、日本史にも「やらかしちまった事件」がたくさんある。

司馬遼太郎の説

司馬遼太郎によれば、こういった日本人的性質は元からある「村社会」の名残と、徳川家康と彼が作り上げた幕藩体制にあるという。そういった根の深さゆえ、簡単には覆すことが出来ない。誠に腹立たしいばかりであるが、よそ様も似たようなものだろう圭角立てず、腹も立たさず静々と参ろうではないか。立てて良いのはとんかつの角ばかりであるべきなのだ。

ジャンボ

幼少のみぎりより「ジャンボ」が好きなのだ。通常よりも大きい、とか分厚い、といった表現に心惹かれて幾星霜を費やしたことか。母親から
「お前は全部といっぱい、大きいたっぷりが好きだったから」
と言われるが、それはまったく正解なのである。生まれついての欲張り人間。一般的な意味において50を過ぎて、いささか恥ずかしくなくもないのだが、こればかりは仕方がない。こうなると、「アイデンティティの領域」であるといって過言ではない。ジャンボ・分厚さあっての自分であると言い切って支障はない。周囲からは健康面を注意され、腹回りのあんまりさを笑われるばかりだが、メニューを前にするとそちらに目が行ってしまう。

「とんかつ健」

善光寺の北側、箱清水の地にあるこちらは、「とんかつ」とあるように基本的にとんかつ屋で、メニューも揚げ物が中心となっているが、店内のあちらこちらに短冊状の品書きがあるところをみると、近隣住民の居酒屋、コミュニティとして機能しているようだ。もちろん車だから飲めるわけがないので、おつまみメニューはスルーとなる。あゝ腹がへった。もちろん注文はアレ一択である。

「ジャンボとんかつ定食」

コロッケ、エビフライとならぶ「ジャンボシリーズ」の一廓である。どれもこれも大好きなメニューだが、やはり分厚さ、迫力度からしてこれしかないと確信する。厚さは1.5〜2センチ、といったところであろうか。クキッとした直角が、緊張感を演出する。断面をながめるだけで、多幸感が溢れてくるのは私だけではないだろう。なんのかんの言いながら、肉は「質」以前に「厚さ」あってのものなのである。

揚げたてかつ分厚いとんかつには塩、と言われている。たしかに美味い、否定するつもりはまったくない。しかし、とんかつはソースあってのものなのだ。じゃぶじゃぶソースで、男らしく喰らうのが一番だ。

and others…

しかし、ごはんを控えるのを忘れない。食べすぎであることには間違いないのだ。とはいえ、炊きたて熱々のごはんほど美味いものはない。楚々とした冷奴には、北信らしく洋ガラシが添えられている。ツンとした辛味はかえって爽やかな印象を受ける。大根とキュウリのオーソドックスな漬け物も、とんかつの迫力を支える、大事な脇役である。


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長野市「味の鋒八」故きをたずね…


【お店のデータ】
味の鋒八
場所 長野県長野市平林2-16-36 [地図はこちら]
電話 026-243-5240
駐車場 あり

師の言葉

「温故知新」『故きをたずねて新しきを知る』と読む。高校の担任が、卒業に際して黒板に大書したのを30年近く経過した現在もありありと覚えている。曰く

「新しいことばかりを追い求めようとばかりするな。まずは目の前の先人たち、親兄弟、先輩方の話に耳を傾け、自らの足元を固めることから始めよ」

出会いは新しいものばかりではない。いや、以前見知っていたものとの再会の方が、よいことなのかもしれない。見た目は同じでも、違う側面が見えてきたりと、新鮮な新しい付き合いが出来るのかもしれないのだ。

「味の鋒八」

こちらは、平林街道のど真ん中にある。
駅前でもない、このような場所に居酒屋とは珍しい。そんな声が聞こえてきそうだが、こちらは街道拡幅以前からある、古い由緒あるお店なのだ。
じつのところ、こちらは以前勤務していた会社がこの近隣であったため、一時かなり頻繁に使わせて貰っていたのだ。かれこれ十数年前のことだろうか。今は綺麗になったが、当時は木造平屋の店舗で、居酒屋らしい古ぼけた風情だった。冷房のない暑い室内で飲むホッピーの美味かったこと。

ランチタイム開始

その店がランチを始めたという。店の様子も味わいもすっかり忘れ果てている、懐かしくもある。確認のためにも行ってみよう。
店先のホワイトボードに「もつ煮定食」「焼鳥定食」と、この店らしいメニューが記載されている。イメージ通りのメニューであるが、心に決めたものがあるのだ。

「気まぐれ定食」850円

大将が、その日に仕入れた素材で気まぐれに作り上げるメニューで刺身、揚げ物、煮物にご飯とみそ汁がつくのだという。

「今日の刺身」

カツオとホタルイカは鮮度抜群、キリッとしたカツオ、とろんのホタルイカのコンビネーションがよろしい。

「揚げ物」

アジフライ、イカリングフライ双方ともにソースをじゃぶじゃぶとかけてみる。アジフライにはしょう油という選択肢もあるが、今日は迷わずソースとする。何かしらのコンセプトがあるわけもない。「気まぐれ定食」には「気まぐれ」に挑むべし。そして小鉢ものは

「鱈子の煮つけ」

鱈子をしいたけ、ごぼうと共にアッサリと煮つけたもの。あゝ、これは美味い。抑制された甘さがなんとも言えず心地よい。大将、もっと大きなドンブリで出してくれ。

和食

基本的に「和食」なのである。
どこまでも「日本料理」なのである。
それでいて「和」からも「日本」からも突き抜けた、あえて言えば「モダン」な風を醸成しているのはなぜだろうか。もう少し通いつめてみないとわからない。正直いうと、こちらの味をすっかり忘れていた。いや認識していなかった、といってよいかもしれない。ここまで美味さだったとは思いもよらなかった。知っていたはずなのに知らなかった。というところか。「故き」はやはり「たずねて」みるものなのだ。

師のこと

担任のことを少々続けさせて頂く。
S先生といったが、あまり笑顔を見せない、もの堅くおっかない先生だった。悪ガキの私などしょっちゅう怒られていたが、まったく嫌な感情がない、いやむしろ好きな部類の人物だったのは、物事の本質を見極めた、およそ不公平というもののないまっすぐな方だったからに他ならない。
「最後の担任」であるわれわれを送り出した翌々年が定年だった。友人たちと祝いの品を届けた時の、泣かんばかりの笑顔が忘れられない。
…それが最後の邂逅だった。わが身の変転あり社会に出てからは多忙であり、とは言い訳にしかならない。
先年、訃報を聞いた。ああ、もっと会いに行っておけばよかった。せめて嫁さんの顔くらい見せておけばよかったと後悔しきりの日々である。


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【うなぎdays #3】長野市「花ぶき」斎藤茂吉とうなぎと


【お店のデータ】
花ぶき
場所 長野県長野市箱清水1-10-24 [地図はこちら]
電話 026-234-7337
駐車場 あり(ただし少ないのでお店の方にお訊ね下さい)

斎藤茂吉

歌人で精神科医であった斎藤茂吉(1882-1953)はとにかく、真面目一方の人物であったそうだ。有名な小宮豊隆(1884-1966)との論争〜松尾芭蕉「しづかさや岩にしみ入る蝉のこゑ」のセミがアブラゼミであったか、ニイニイゼミであったかを大真面目に論じ、小宮が半分投げているにも関わらず、数年をかけて決着をつけたりと、凄まじいものがあったという。

しかし、そんな大堅物であったが、真面目すぎが高じ、かえっておかしみが増す、本当に面白い人物だったそうだ。
ユーモア:humorとはhuman:人間が語源というが、茂吉ほど人間くさく、面白い人物はいなかった。という意味であることを、息子である北杜夫が書いていた。
茂吉はまた、無類のうなぎ好きでもあった。
長男 茂太の見合いの席で、後に嫁となる美智子が、手をつけずに残したうなぎを
「いらないならおくれ」
と食べてしまったり、 山形へ疎開する際にはトランクいっぱいのうなぎ缶詰を持ち込み、後生大事に、密かに1人で、愛おしむように食べつくしたという。もちろん、家族に分け与えるなど、考えもしなかったのだとか。

密やかに、静かな「花ぶき」

昨今の高騰は別として、もともとうなぎとは高級品の部類に入るものである。したがって、あまり大っぴらに吹聴すると、あまりよいことはない。…ような気がするので、密やかに、静かに頂こう。ということでお邪魔したのがこちらである。

「花ぶき」

隠れ家的名店、というよりはっきりと「隠れ家」のお店である。以前からこちらの存在は知ってはいたが、予約制というハードルの高さで、なかなか足が向く事がなかったのだ。期待感Full Maxである。

個室空間

内部は個室となっており、庭が伺える。庭そのものはさして広くないが、高低差があるのと、城山公園を借景出来るのとで、とても見事な風景だ。

このようなお店らしくメニューは二択である。蒲焼き、白焼きの両方が楽しめる「しらかば重」。4種類の食べ方が楽しめる「ひつまぶし」。後者はデリシャスコマチアクセスランキング5年連続1位だという。

はじめに

骨せんべいと漬物、突き出しの、ということか。しっかりと揚げられた骨を噛みしめる。さくりとした歯ごたえと、髄に至るときの「くきッ」とした食感がなんともいえない。たくあん、きゅうりの浅漬け、桜漬も、楚々として美味い。

「しらかば重」

いつも通り、優柔不断と激しい検討と、様々な逡巡の果てに、こちらで決定。蒲焼きだけでなく、白焼きも、というのが決定打となった。じつに、華やかな御膳だ。食べるのがもったいない。

「白焼き」

まずはこちらから。今まできちんとしたものを食べた事がなかった。そのままでは淡白でしかないが、わさびあるいは梅塩をのせると絶品である。表面はパリッと、中はふわふわと。美味すぎる。

「蒲焼き」

となると、こちらは影が薄くなりそうだが、決してそんなことはない。蒸さずに焼く関西風とのことだが、これもまた見事な仕上がりである。ミルで挽く山椒をたっぷりかけて頂く。幸福感絶大である。

「ご飯」


けっこうなボリューム、というより他店の大盛りクラスである。それともこちらを見て加減してくれたか。炊きたてで熱々の白飯とうなぎの相性が素晴らしすぎる。

「デザート」

デザートの完成度も高し。甘酒を用いたプリンだという。甘すぎず、さりとて甘酒のクセをごく抑えた品のよい一品であった。

庭を愛でながらの昼食は、なんとも言えずによいものだ。聞くところによると、春先の桜は、それは見事という事だ。ぜひ来春、堪能したいものだ。

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【うなぎdays #2】長野市「浜名屋」平賀源内とうなぎと私


【お店のデータ】
浜名屋
場所 長野県長野市南長野県町600 [地図はこちら]
電話 026-232-7411
駐車場 あり

平賀源内

そもそも、夏の土用の丑の日にうなぎを食する様になったのは、平賀源内が広めた、という説がある。

平賀源内はご存知の通り、江戸時代中期を本草学者、地質学者、蘭学者、医者、殖産事業家、戯作者、浄瑠璃作者、俳人、蘭画家、発明家として生きた、大変な才人である。しかも、そのひとつひとつが超一流とくれば、われわれ凡人は、ただ平伏するしかない。
また彼は、日本初のCMソングとされる歯磨き粉『漱石膏』の作詞作曲を手がけたり、安永4年には音羽屋多吉の清水餅の広告を手がけたりと、日本におけるコピーライトの先駆け、とも言われている。
うなぎも、その連なりでうなぎ屋の主人に泣きつかれた平賀源内が、「けふは丑の日」と店先に張り紙させたら、それが大ヒットした。以来、風習として残ったのだとか。
嘘か誠か定かではないが、本来的に季節とうなぎはまったく関係がないという事は確かである。
とはいえ夏になるとなんとなくうなぎを食べたくなるのは不思議なものだ。さすが平賀源内、習い性分となるほどのコピーを作ってしまうとは。とはいえ今時のうなぎなど、すき家以外では、簡単には食べられない。

「浜名屋」

本年は7月20日と8月1日であるという。何にせよ、暦とは関係のない生活をしている。当該日にうなぎを食す習慣などあるわけがない。と思っていたら、お誘いを頂いた。仕事のご褒美でご馳走してくれるという。仕事を一所懸命やるのは当たり前、と固辞したのだが、強くお誘い頂いたので遠慮なくお邪魔することとなった。場所は浜名屋。県町の一筋入った、ひっそりとある小さなお店だが長野市屈指の有名店でもある。

「うな重(特)」

「うな重」とあるが、(特)はうなぎの量が多いため、丼で供されるという。あまりのつやつや感、しずる感そして、素晴らしいほどの神々しさに、しばらくの間箸をつけることが出来ず、見惚れるだけとなる。うなぎの3/4ほどの量であろうか。ご飯を覆い尽くすうなぎ、うなぎ、うなぎ。

こちらも関西風に蒸さずに焼くのだとか。パリッとふっくら、焼き魚といった風情の蒲焼きである。先だって、山椒はご飯にふる。と聞いたので試したらこれが風味が効いてじつに美味い。病みつきになりそうだ。

「肝吸い」

これは別注文である。まったりな生麩、シャキッとした三つ葉、そしてプリプリの肝が美味い。漬物に奈良漬というのも、変わっていて美味しかった。

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【うなぎdays #1】長野市「すき家 長野SBC通り店」トキかうなぎか


【お店のデータ】
すき家 長野SBC通り店
場所 長野県長野市上松1-16-41 [地図はこちら
電話 不明
駐車場 あり

とりあえず深刻なお話しから

土用とは暦日のひとつで、年に4回あるのだという。その中で十二支でいう「丑」に当たる日を丑の日。その中で夏に属する日を「土用の丑の日」と言っているとのことだ。すなわち、「土用の丑の日」とうなぎは一切関係がない。とはいえ、「丑の日」と聞くと、あの濃厚でツヤツヤの褐色に出会いたくなるのは、日本人の遺伝子にセッティングされているのではないか。そんな気がしている。
近年のシラスウナギの減少は、深刻な問題だ。だからといって、これほど高騰させては、誰も食べる者がいなくなる。誠に悪循環の限りだ。そんな社会問題はさておき、「すき家」の登場である。
もちろん、輸入うなぎである。
先だって(これを食べた後だが)8月3日のYahoo!ニュースで読んだのだが、すき家、なか卯のうなぎはヨーロッパウナギを使用しているのだそうだ。これはヨーロッパに分布する、唯一のウナギで個体数が減少しており、記事によると

 日本も加盟する国際的な自然保護団体・国際自然保護連合の指定によると、ヨーロッパウナギは「絶滅危惧IA類」で、なんとトキより上位のカテゴリーに入る。

のだという。
EUからの輸出は禁止されているが、

EUは輸出を禁止していますが、モロッコ、チュニジアなどアフリカ諸国は、証明書つきで輸出を認めている。違法というわけではない

シラスウナギをアフリカから中国へ。彼の地で養殖され日本に入ってくる、というルートなのだそだ。まったくエラいものを食べてしまった。
…とはいうものの、腹の中に入ってしまったものゆえ、あまり気にしても仕方がない。

すき家 長野SBC通り店

売る方も買う方も、捌かれてしまったうなぎの方も、それなりに苦労してここに来ているのだ。ここは、しっかり美味しく頂くのが筋というものだ。

「うな牛 豚汁セット」

うなぎは半身の1/4程度だろうか。小さなものだが、しっかりふっくらしている。昔の、ゴムのように硬い冷凍ものとは、一線を画した存在といえる。甘めのたれと、じつに「らしく」てよい。

「合いがけ」

これは、すき家の得意技なのである。嫌な顔をする者がいるが、牛丼カレー等見事なコラボである。無論、うな牛も同様に美味い。双方共に醤油ベースだから合わない訳がない。

「豚汁」

うなぎにはしじみ汁を推奨している様だが、興味はないので、いつもの通り、豚汁を注文する。といってうなぎにサラダという気分でないのでお新香とする。

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長野市「カリユシ長野店」長野で味わうOKINAWA


【お店のデータ】
カリユシ長野店
場所 長野県長野市新田町1458 1F [地図はこちら
電話 026-228-0508
駐車場 なし

これまで沖縄には2度行ったことがある。友人がいるので、2度ともそこを拠点とさせてもらうという、実にありがたい旅行だった。2〜3日の滞在だったので、隅々までではないがかなりディープな処まで案内してもらえたと思う。

琉球とアメリカと日本が強烈にブレンドされた。そんな独特の地域性が、とてもよい。また訪れてみたい、とも思いつつ25年が経過してしまった。なかなか行けないがゆえ、せめてランチだけでも沖縄を味わいたい、とお邪魔したのがこちらである。

カリユシ長野店

「本日の日替わり定食 ゴーヤーちゃんぷる定食」

こちらの日替わりは基本500円だ。大抵はSPAMを用いた玉子料理など、沖縄っぽいメニューである。この日はたまたまゴーヤーちゃんぷるであった。ゴーヤの緑が気持ちよい。

大量のゴーヤと豆腐、玉子そしてSPAMという、典型的な沖縄料理、独特の地域性をそのまま表現したような料理である。

ゴーヤを好まぬ方はたくさんいるが、私は逆にこの苦味が好きだ。あまり火を通し切らず、少し硬めのゴリゴリするくらいの歯ごたえがよい。おそらく減塩であろうSPAMの塩味と、豆腐、玉子のまったりさ加減がたまらない。

「半沖縄そば」

+300円でいただけるオプションメニューである。半濁のスープとソーキ、沖縄かまぼことネギがのっている本格的な沖縄そばである。

薄暗い店内で、ゴーヤちゃんぷると少しごわついた、「ラーメンの原型」といった風なそばをたぐっていると、那覇の裏通りに来たような気になってくる。あゝ、沖縄いきたい。


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中野市「食房べに家」いや懐かしき昭和チープな食堂


【お店のデータ】
食房べに家
場所 長野県中野市中野 170-6
電話 不明
駐車場 あり

「信州なかのバラ祭り」というイベントがある。中野市内にある一本木公園という場所で、栽培されているバラの開花に合わせて開催される。多種多様な花が咲き乱れる、それは見事なイベントだ。

以前は家族全員でお邪魔していたが、子どもたちの成長とともに足が向かなくなり、ここ数年ご無沙汰していたのだ。この日は天気もよく、しばらくぶりの参戦としよう。

とはいえ祭りの前に昼食だ。
腹が減っては戦はできぬ、中野まで来るのだから、「丸長」でつけめんか、「三光軒」で麻婆豆腐ラーメンか。あるいは「田りた麺之介」で素敵なうどんかと様々検討したが、最終的にこちらに決定した。

「食房 べに家」

中野市の中心地から少し離れた、住宅地と農地の境い目くらいにある食堂である。80 過ぎたじじばば(ご本人談)と、やはり高齢のお手伝いおばさんが切り盛りする、小さな食堂である。

こちらの特徴は、どことなくかおる「昭和チープ」にある。本メニューには「とんかつ定食」だの「しょうが焼き定食」など巷でよくみる品が用意されているが、店内に掲示された、いわば「おすすめ」ともいうべきメニューがとても香ばしい存在感を放っている。

「うす切りハムカツ定食」
「くず野菜炒め定食」
「サバ水煮缶定食」

なんじゃこりゃ?
というテイストだ。ハムカツもすごいが、そもそもうす切りって何だ?「くず野菜」というのはどんなものか?サバ水煮缶って、缶詰が定食に登場するんかい?それにしても安い。平均 300 円代じゃないだろうか。
とはいえ、こんな感じの安い食堂があったよなァ。子どものころ、昭和 40 年代半ばくらいまでの、安い食堂ってこんな風だったよな。そういった懐かしさが感じられるのである。

今回のチョイスは、メニューの中でもっとも安い
ものとした。

「味のり・梅ぼし定食」280 円

先だってお邪魔した際に気になっていたメニューである。予想では味付けのり一袋と梅干が少し、そこに小鉢ものがつく。という構成と予想していたのだが、まさかそのまんま登場するとは思わなかった。

「味のり」

これは絶対に短冊型の小さな袋入りのもので登場すると確信していたのだが。6枚入り大袋は、じつに食べがいがあってよろしい。味のりをこれほど食べたのも初めてかもしれない。

「梅ぼし」

恐らく自家製と思われる。これも小皿に数個、楚々として登場すると思ってい
たがまさかこれほど大量に出て来るとは。店主ご夫妻、いやじじばばの豪快さが気にいった。

ご飯とみそ汁はおかわり自由。アツアツでじつに美味い。…はとても嬉しいシステムなのだが、280 円の定食でやってよいことなのか。こちらの方が心配になってしまう。

「野沢菜漬け」

これも自家製なのだろうか。味のりの黒と梅ぼしの渋い紅という、地味な色合いの中に、ポツンと鮮やかな緑。小さくも清涼な風があり、美しく、かつとても美味しかった。

そして、味のりでアツアツごはんをひと巻き。しあわせな瞬間である。さぁ腹一杯になった。バラ祭りへ赴くべし

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松本市「すざわ亭」しっとり松本のしっかりご飯


【お店のデータ】
すざわ亭
場所 長野県松本市中央1-12-8 [地図はこちら]
電話 0263-34-6286
駐車場 なし

少し前のこととなってしまったが、松本を堪能してきた。市立美術館で草間彌生展を再見、再度の衝撃を受け、松本城の掘割で桜を愛で、区画整理がひと段落した街並みを散策しただけなのだが、長野市とは違った、しっとりとした風情を楽しむことができた。
正直を吐露すると、これまで松本はあまり好きな街ではなかった。昔の勤務先の本社が松本にあり、ここに来るということは、つまらぬ会議だったり怒られに来たりとあまりよい記憶がない、というだけのことなのだが。退職後10数年を経てようやく妙なバイアスが外れて、素直に接することができるようなったのだと思う。あゝ松本っていいところだ。歩くのに夢中で昼の時分を過ぎてしまった。食事を抜くわけにいかない。どこで取ろうかと振り向いたらこの店と出会った。

すざわ亭

ショーケースの中に店名、外に立て看板のみの、シンプルでお洒落デザインである。長野市ではあまり見かけない風である。ランチタイムも終わりどきだ。こちらにしてみよう。

こちらのランチタイムは全て日替り定食のようだ。

A.豚の角煮 菜花 目玉焼き添え定食
B.サバと舞茸のチーズ焼き定食
C.豚バラと玉ネギの生姜焼き定食

という3種類。どれも手が込んでいそうで楽しみである。いつもの通り試行錯誤と優柔不断、様々な逡巡の結果Aに決定。決め手は目玉焼きである。その優しげなフォルムに惹き込まれてしまったのだ。

メインである、『豚の角煮』の皿は目玉焼きに覆われ中が見えない。この謙虚な姿勢と、素っ気なさが非常によろしい。目玉焼きがもう少し半熟ならもっと嬉しかったし、三つ葉ではなくパクチーなら狂喜していたであろう。目玉焼きを傍に寄せると、薄切りバラ肉の角煮が数枚、そして菜の花のおひたしが添えられている。甘すぎず塩辛すぎず、控えめな味わいだ。角煮にも菜花にもほどよく味がしみている。

『よい定食屋』の『よい定食』とは美味い、安い、盛りがよいというのは当然のこと。その上に『よい脇役』を揃えているのも条件のひとつであると確信する。脇をしっかりと支えてこそメインが光り輝くのだ。

この点において定食と名画は共通する。例えば「天井桟敷の人々(1945)」のP・ルノワールとP・ブラッスール。例えば「ブリキの太鼓(1979)」でのダニエル・オルブリフスキのごとき存在といえよう。興味を持つものはあまりいないと思うのでこの辺で止める。

それにしても『玉子入り炒り豆腐』は野菜たっぷりで絶妙な味わいはまさに名脇役といえる存在であった。

そして、何が素晴らしいといって、ご飯の代わりに冷奴に変更してくれるところがよい。まことにつまらぬ話題で恐縮だが、ダイエット中の身の上である。そんな時に『糖質制限用』と冠された豆腐は、とても気が効いており美味い。備え付けの出汁醤油をかけ回す。幸せな瞬間の訪れである。

 

 


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主役を凌駕する〈香る箱〉 上越市「軍ちゃん直江津店」のカニ汁


【お店のデータ】
軍ちゃん 直江津店
場所 新潟県上越市西本町1-14-2 [地図はこちら]
電話 025-545-2728
営業時間 11:00~14:00(L.O.13:30)、 17:00~22:30(L.O.22:00)、日曜営業
定休日 不定休
駐車場 あり

二月のことだったが、直江津に行ってきた。
さしたる用事でもないのだが、行かねば済まぬことでもあり、重い腰を上げたというわけだ。
長野県はさほどでもなかったが、北陸地方、とくに新潟は記録的な積雪量であったという。妙高周辺は1メートル、直江津市内はもう少し積もっていたのではないか。とはいえ降る量も一流なら除雪ノウハウも一流、道路は無論のこと、駐車場などの雪も片付けられ、通行に支障はなかった。

早々に用事を済ませ昼である。
直江津といえば海鮮であろう。海沿い=海鮮=刺身という図式は、彼の地に住まう者たちには失笑を買うばかりであろうが、そこは海なし県民の哀しさだ。こればかりは致し方ない。

「海の幸 味どころ 軍ちゃん 直江津店」

有名店であり、マイナー店好みとしては避けるべきかもしれないが、知識なし土地勘なしではやはりここを頼らずにいられない。少々高いが、間違いない店でもある。

「たたき丼」

いつもは「海鮮丼」を注文するのだが、今日は目先を変えてみた。ビンチョウ、アジ、イカなどを細かくたたき、酢飯の上にちらしうずらの玉子、刻みノリをふりかけたものだ。わさび醤油をまわしかけいただく。

 

しかし、今回の主役はこちらではない。
いや、メインキャストのつもりであったのだが、気づかぬうちに脇役に喰われていた。そんなことは映画だけでなく、昼食にも起こりうるのだ。

「カニ汁」

コウバコガニ、香箱蟹と書く。日本海沿岸に分布する小ぶりのカニで、身は少ないが濃厚な出汁がでるとのよし。安価なため、地元ではむしろこちらの方が好まれるのだという。

「コウバコガニは今が旬。玉子がたっぷり入ってますよ」
という言葉につられて注文したがこれがすごい。濃厚な、という表現では生ぬるい。西原理恵子流に「ごゆい」が妥当かもしれない。
そして玉子。「たっぷり」と「みっしり」と「詰まりきって」いるのである。箸でこそげるのがもどかしい、そのまま口中へ投入する。舌上にパラリパラリとふりかかる「快感」。うまい。思いつき半分ほどを汁に落としかきまぜる。うぅむ、うまい、うますぎる。

ああ、長野県も悪いところではない。うまいものもある、確かにある。しかし海鮮ばかりはどうにもならない。距離的にいえば、佐久も直江津もさほど変わらない。また機会を作って海鮮チャージに訪れることとしよう。

山賊焼、じいちゃんばあちゃんお孫ちゃんのいるお店 塩尻市「正和食堂」


【お店のデータ】
正和食堂
場所 長野県塩尻市大門七番町13-28 正和コーポ 1F [地図はこちら]
電話 0263-52-1242
営業時間 12:00~14:00、17:00~21:00
駐車場 あり(5台)

辰野町まで道行きである。
無論、仕事である。時間にゆとりがあった上に、お客様より『少し遅くしてくれ』との連絡があったので、ゆっくり下道で行くことにした。もともと、スピードを上げる方ではない。ゆったり風景を眺め、美味しいものを食べながら行こう。

『山賊焼』

なる面妖な食べ物を知ったのは松本に移り住んでからだった。鶏肉に下味をつけ片栗粉をまぶして揚げる。
『鶏を揚げる=取り上げる=山賊』
からとられた、あるいは塩尻にある『山賊』という居酒屋が発祥だからと、諸説あるようだが、地域の皆に愛され、今や松本塩尻地域のB級グルメとして知らぬものはないほどの存在になった。

せっかくだから昼は山賊焼としよう。
様々な調査を行い、いくつかの店がピックアップされたが、ここはやはり初訪問を優先すべきであろう。ということで今回は塩尻市にあるこちら

『正和食堂』

以前から名のみ知っていたが、北信住みゆえになかなか来ることが出来なかった店だ。塩尻駅近の住宅街の真ん中にひっそりと建っている。経験上、このような店に間違いがあったことはない。

六畳ほどの小上がり二つとカウンター席の小さな店内。
ご主人と奥様お二人で切り盛りされているようで、ガラス仕切りの向こうで忙しそうに働いている。どこに座るかな、と見回していたら小学生くらいの可愛らしい女の子がひょいと現れ「何名様ですか?」

1人である旨を伝えると、カウンター席に通される。
お孫さんだろうか。後片付けや水を出したりと健気に働いている。ロリコンの気は全くないが、一所懸命の子どもを見るとホロりとさせられる。あゝオレも「はじめてのおつかい」で涙する歳になったか。

「山賊焼定食 大」1180円
糖質制限中のためご飯は小盛りでの注文とする。だったら単品を注文せよ、と思わなくもないのだがそこはそれ、定食のフォルムを確認しておかないと気が済まないのだ。それにしても大変な迫力である。特に骨つきタイプが尋常ではない。

骨つきタイプの隣には、胸肉であろうか、骨なしのものがふたつ、可愛らしく鎮座している。揚げたてあつあつでうっかりすると、肉汁が零れ落ちそうになるほどジューシーだ。向こう側につけあわせのナポリタンがレタスの山とともにひっそりと、しっかりと山賊どもを支えている。

小鉢もの
『冷奴』と『白菜の漬物』

冷奴には味がついてますという。白出汁でうっすらとした味わいが珍しく、品が良い。白菜もしっとりと美味い。自家製であろうか、さくりとした歯ごたえと、薄味なのもよい。豪快なメインのサポートに徹した存在だ。

みそ汁はエノキと白菜。

定食屋のみそ汁は煮詰まり気味が『らしく』てよいと確信する。大量に作り長い時間温め続けるから、どうしてもこうなってしまう。あまりよろしい所作とは言えないが、流行っている定食屋なら許す。こちらも同様だ。みその香りのとんだ、少し塩辛いくらいの味わい、しかしこれだからよい。これでなければならない。

調味料として洋がらしとごま塩が装備されている。

下味がついているので不要の気がするが、双方ともに揚げ物との相性は否定出来る筈もない。したがって喜んで使わせて頂く。塩が美味い、ごま塩というのが泣かせる。『ごまかす』は『胡麻化す』なのだ。何でも美味くなってしまう。

いつも通り、ご飯を盛大に残して終了。清算の際にお尋ねしたらやはりお孫さんとのことだ。学校が休みの時に手伝ってくれているという。かわいらしいお手伝いさんがいて、おじいちゃんおばあちゃんは助かりますね。とお話したら、『ようやく使えるようになったんだよー』と言いながらも、満更でもなさそうな笑顔を浮かべた奥様がとても印象的だった。

長野市「大戸屋長野稲田店」ファミリーレストランのヘルシーご飯


【お店のデータ】
大戸屋 長野稲田店
場所 長野県長野市檀田2-30-10
電話 026-244-5789
営業時間 11:00〜22:30
定休日 なし
駐車場 あり


基本的にチェーン店系は使わないという方針なのだが、たまに赴くと当たりが多いのも事実である。特にファミリーレストランは研究が行き届いていて、じつによろしい。中でも大戸屋がよいと考える。ということで久しぶりに行ってみよう。

「野菜のせいろ蒸しとたっぷり野菜の麦みそ汁定食」

殊更取り立ててヘルシーを狙ったわけではないが、野菜好きにとってはこたえられないメニューなのだ。豚肉と様々な野菜たち、キャベツにんじんレンコンかぼちゃブロッコリースナップエンドウなどがほんわりと蒸しあがっている。ゴマだれ美味し。

「野菜たっぷり麦みそ汁」

もうひとつのメイン。こちらも熱々で様々な野菜たちが。麦の香りが心地よすぎる。

「七穀米ごはん」

『エコと雑穀ほど嫌いなものはない』
と戦時中に生まれ育った母親は言い放つ。エネルギー事情が悪い、物資不足の時代ゆえヒエ、アワ、高粱のみしか食べられなかった世代は良いことを言うわけがない。しかし、現代のそれは比較にならぬほど美味くなっているのだ。もちもちして美味いのだ。

小鉢ものにも凄みがある。大根の漬物と刻みめかぶめかぶに少し、しょう油をたらしこのように七穀米ごはんにかけていただく。ぬるりとした舌ざわりとショウガの香りが素晴らしい。

「たまご豆腐」
冷たく優しく仕立てられた一品。
大戸屋、すごいぜ。次回は何を食べようか

小諸市「自然の恵みそばと、カフェ 凱」さわやかな…


【お店のデータ】
自然の恵みそばと、カフェ 凱(Toki)
場所:長野県小諸市滋野甲591-1 [地図はこちら]
電話:0267-31-0927
営業時間:11:30~17:00(夜は完全予約制)、日曜営業
定休日:日曜日
駐車場:あり

昨年秋のこと
篠突く雨とまでは言わないが、決して少なくはない雨の中、他業である。10月も半ばをすぎた。夏は失せ消え、秋冬の気配が背後から少しずつ忍び寄ってきているのがよくわかる陽気だ。

あまり外に出たくはないが、仕事ゆえこればかりは仕方ない。後工程に支障がないのを幸として、時間をかけてゆっくり行こう。
須坂を抜け、菅平を越えるころには外気温5℃と表示された。寒いわけだ。今シーズン初めてエアコンディショニングを暖房に切り替えて走行していると、上田に差し掛かるころには、すっかり車内は常夏の状態といえる温度となってしまった。

寒いのに暑くてたまらない。
調子に乗って設定温度を上げすぎた。窓を開放、換気したが顔の火照りは収まらない。時分どきでもある。冷たいものでも食べて冷却しよう。ちょうど行く道に試してみたかった店がある。

「自然の恵みそばと、カフェ 凱(Toki)」

浅間サンラインの東部湯の丸インターと、小諸インターの中間くらい、道沿いのゆるやかな南斜面にひっそりとある、外壁全面を杉板で張り込んだ、一見では民家としか受け取れないようなデザインの店である。基本そば屋だが14:00からはカフェになるという。大きな屋根つきのデッキで飲むコーヒーは、さぞや美味しく感じられるであろう。いずれ、季節のよいときにお邪魔するとしよう。

内部は小さな厨房とそば打ち部屋があり、客席は広々したワンルームである。
大きな開口部からは、外光が差し込み明るい。この陽気でこの明るさなのだから、春夏は小気味好いほどのであろう。やはりそば屋よりカフェという表現が正当であろう。四十より少し前と見受けられる、若い男女が切り盛りしている。息のあった所業は、日差し以上に心地よい。ご夫妻であろうか。尋ねてみるか、とも考えたが先だって他所で間違えて、盛大に恥をかいたばかりである。余計なことは避けるとしよう。

メニューはもりそばざるそば天ざるなどスタンダードと、オリジナルと呼ばれるメニューがあるようだ。
オリジナルには春夏秋冬、季節替わりのものがあるようだが、「販売終了」と付箋がなされている。

初メニューは右上、といったのは井之頭五郎であったか。今回の注文は

「凱」Tokiのそば 1000円

『たっぷりの炒め野菜をいれた温かいつゆと、だしのきいた冷たいつゆに、冷水で締めたそばをつけてお召し上がりください』

という、どことなく稚拙な風ではあるものの、真面目一辺倒で誠実な文章に心を打たれたのもある。冷温双方を楽しむことができる、というのも気が利いている。

「出来上がるまで、あちらをお召し上がりください」
と、女性スタッフが指差した先にはサラダバーとドリンクバーがあった。

レタス、水菜、ベビーリーフにカットされたトマトが散らされた大きな鉢と、輪切りにされた茹でとうもろこし。そばの切れ端を揚げたものはクルトン替わりであろう。
ドリンクバーは冷たい烏龍茶とハーブティが用意されている。簡単なものだが、だからこそシンプルでうまいということもある。季節は外れたが、茹でとうもろこしがとろけるほど甘くて驚いた。

そして
「凱」Tokiのそば
である。

冷たいつゆはやや辛く、きりりと締まった味わいである。
温かいつゆには、軽く炒められた野菜類、ネギ、大根、にんじん、野沢菜、シイタケなどがどっさりと投入されている。ゆずの香りを効かせたのが一層個性を際立たせているようだ。

手打ちされたそばは、香り高く、細くそして固めに茹で上げられている。個性的なつゆどもと、堂々と対峙するかのような、どっしりとした存在である。

わずかではあるが、栗ご飯も供されていた。もち米の心地よい歯ごたえと、ほんのり甘い栗の存在感がとても嬉しい。ああ、本当に秋が来てしまった。

Tokiのそば
というのは、「時そば」にかけたものであろうか。会計の際、ひぃふぅみぃよぉとやってみようかとも考えたが、まったく通じず、恥をかくのもいやなのでやめておいた。


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