山ノ内町「クランペット カフェ」山頂にて


クランペット カフェ
場所 長野県下高井郡山ノ内町大字平穏7149 [地図はこちら]
電話 0269-38-0770

イントロ

ずいぶん昔の事だが、週刊朝日誌上で「學門」という連載があった。世の中の森羅万象を”學門”として学ぶというもので、変わった人間や出来事を夏目房之介のイラストとともに報告するものだったが、これが滅法面白かった。

森羅万象を扱うだけあって、内容は様々だったが中でも特に面白かったのが”恐怖症シリーズ”だ。閉所恐怖症、高所恐怖症などという一般的なものだけではなく、血や生肉が怖い”血肉恐怖症”、石像が怖い”巨大人物像恐怖症”、”魚顔恐怖症”などあり得なさそうな恐怖症が登場し、骨がガタガタになるほど笑わせてもらったものだ。

じつのところ私にも恐怖症がある。
ここだけの話だが、高所恐怖症なのだ。厳密にいえば空所恐怖症とでもいうか。標高何百メートルにいようと、足元がしっかりと地についていれば怖いことなどない。また、ジェットコースターやフリーフォールなどといった遊具で何十メートル上昇しようと、どうということはない。ただ、足元に何もないのがいやなのだ。

例えば、見晴らしのよい上り右カーブ。車ごと崖下に落下するのではないかと考えてしまい、総毛立ってしまう。下腹部から股関節のあたりがぞわぞわとしてくる。これに気づいたのはごく最近のこと、若い頃はむしろ楽しんでいたはずなのだが。年齢を重ねて感覚も変わったのか。謎である。

娘の帰郷

娘が帰ってきた。
最終学年となりそろそろラストスパート、の前に帰宅して一休みという事らしい。いろいろ用事もあるようだが、こちらの休みの日と重なったので、久しぶりに外出しようと志賀高原 横手へ向かった。山頂の清冷な空気の中で美味しいランチを頂こうという計画である。

中野から国道292号線をひた走り横手山ドライブインへ。そこから横手山スカイレーターというエスカレーターとリフトを乗り継ぎ標高2700メートルの山頂へ。風も雲も少しはあったが、ほぼ快晴の状態でじつに快適な環境である。ただこの日は気温10℃を下回っておりとても寒い状態だった。もっと早い時期ならまだまだ快適であったろう。
完全に晴れ渡っていれば日本海、条件が揃えば佐渡まで見えるという展望テラスでしばらくすごした後、昼食へと向かう。

「クランペット カフェ」

“日本一標高の高いところにあるパン屋さん”である横手山頂ヒュッテが、この日はランチ休業とのことで、もう一つある”日本一標高の高いところにあるカフェ”にて昼食を取ることに。クランペットとは丸く小さく成形されたパンのことで、こちらでは様々な具材をのせて供される。

「バター&卵+ハム・トマト」650円

初体験はデフォルトから、というのは原則行動であろう。名前の通り、バターをたっぷり塗ったクランペットに卵、ハム、トマトを乗せたもの。厚く切られたトマトの存在感がすごい。

「ロックス&クランペット」800円

こちらは名前の響きのみで決定したもの。すなわち登場するまで何が出てくるかわからなかったので、スライスオニオンとスモークサーモンだったのは、新鮮な出会いで嬉しかった。ケッパーのクセと香りが効いていて、これもまた新鮮。

「ラクレット」1350円

じつはこれも初体験。焼いたソーセージと茹でジャガイモに、溶けたチーズをドロリとかけた料理。チーズの香りがすごい、ソーセージがぷりぷり、ジャガイモが甘い。

以上、感嘆状態で食べつくしてしまう。

アウトロ

じつは、ここまで平静に書いてはいるが、密かに冷や汗をかいている。山頂ならまだよい。地に足がついている。テラスには手すりもあるので安心だ。しかし、問題はリフトである。またあれに乗らねばならぬ。

行きに乗ったのだから大丈夫だろう?
たしかに同じ高低差を上るか下るかというだけなのはわかる、しっかりと理解できる。当然のことだ。しかし上りは大した事はない、足元が見えるではないか。行き先が見えるというのはとてつもない安心感がある。問題は下りだ。前方には空間しかない、足元には何もあるわけもない。おおおおおおおお、ぞわぞわする。いや、ここで怯んでは父としての尊厳が。おいおい、前列の若者ども、ゆらすなゆらすなゆらすな。え?リフトが支柱を渡るときの振動だ?いやいや、そんな事はわかっている、それ以上ゆらすなと言っておるのだ。落ちてしまうではないか。ひひぇぇぇ、止めてくれぇ、いやいやいや止められてはたまらない。早く早く早くスピードをあげて。こ、こ、こここ怖いよーーーーーーーーーッ!

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