吾妻郡嬬恋村「万両寿司」初めてのロケ弁


「万両寿司」
場所 群馬県吾妻郡嬬恋村大笹130-1  [地図はこちら
電話 0279-96-0706

オファー

日頃から懇意にして頂いている方からオファーをうけた。その方は著名なシナリオライター・映画監督なのだが、彼が関わった映画に出演しないかという。
出演といってもエキストラではあるが。ロケ地近在の知人・友人をかき集めエキストラとして使う、などというのは近年の映画撮影ではザラにある風景だと聞いた。まして、今回のような超低予算映画では当然だ。

愛妻の丘

朝8:00に集合。場所は群馬県嬬恋村にある「愛妻の丘」である。”妻を恋う村”、”愛妻家の聖地”嬬恋村で”妻との時間をつくる”というコンセプトで造成された場所だ。こちらで「キャベツ畑の中心で愛を叫ぶ」なるイベントを毎年9月に開催しているそうだ。
ここで撮影するのは婚活パーティーの場面である。愛妻の丘でパートナーを見つける、というのはしゃれていてよいのだが、とにかく寒い。開始時は日が出てきて暖かだったのだが、10:00すぎくらいから雲が出始めると一気に気温が下がり、雪まで舞ってきた。寒い、とにかく寒い。下着類をたっぷりと着込んできたし、カイロも支給されたがそれでも足りずにガタガタと震える始末であった。そんな状況下で「いやだ」とも「帰りたい」とも思わずに、むしろ熱心に参加していられたのは他でもない、プロフェッショナルたちの熱気、俳優陣の力量をたっぷり見せてもらえたからである。

プロフェッショナルたち

わずかなシーン、…というのは私が感じているだけだろう。ほんの少しの場面をこだわって作りあげていく。俳優たちのもっともよい瞬間を映しこむべく最大限の努力を払っていく。クリエイターには重要でない場面などないのだ。
そして俳優陣のすごみ。私が接したのはコメディリリーフともいえる役を演じた方であった。失礼な言い方だが、決して名の知られた方ではないが、その演技力、声の質、大きさ、表情、ちょっとしたしぐさなど半端でない説得力に圧倒されてしまった。

ひと通り作業が済み、あと少し撮影せねばならない場面があるがここらで休憩兼ねて昼食にしよう。ということでお弁当をいただく。あゝこれがロケ弁か。

「ロケ弁」

ロケ弁といって、よく聞くのが”冷え切ったお弁当を食べるのが辛くてならない”という苦情である。ずいぶん昔だがある女流作家(たぶん有吉佐和子、古いね)が延々とその不味さを嘆いた文章を読んだ事があるが、いったいどのようなものだろうか?そもそも現場で用意するものだろうから、これといって型があるものではないだろう。と、様々な想いを胸に手に取ると、これがほんのり暖かくじつに美味そうだ。近在にある「万両」というお寿司屋さんで用意されたもののようだ。

プラスチックのケースにゴマと梅漬けの配された白いご飯と惣菜類。玉ねぎがたくさん入った豚焼肉、シュウマイ、春巻といったやや中華に偏った惣菜がメインで、その他にキュウリの漬け物(Qちゃんっぽい)とほうれん草のおひたし、あみの佃煮といったシンプルな構成だ。

どこにでもあるお弁当、お母さんが冷蔵庫の中にあるもので、サッと作ったという風情だ。決して高いものではないだろう。しかしこの暖かさ、温度しかり見た目しかり。この多忙でとてつもなく寒い中、用意してくださったスタッフさんの気づかいがとても嬉しくて、あっという間に食べ尽くしてしまう。

出番の終わり

昼食後、撮影再開。これは少しの間で終わってしまう。エキストラはこれで放免となったが、撮影はまだもうしばらく続く。
「たぶん夜中までかかるのではないか」
という。この環境でこの集中力。正直なところ、もっといい加減な中で撮影しているものだと思っていた自分が恥ずかしくてならない。プロフェッショナルな現場に接することのできた、とても幸せなひと時であった。

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