中野市「金長食堂」名物に美味いものあり


店名 金長食堂
場所 長野県中野市中央1-10-3 [地図はこちら]
電話 0269-22-3550
ジャンル 食堂
バリアフリー ◯
駐車場 なし
名物に美味いものなどあるわけがない
というのは定説化されている。元からあったものを『名物』とするならば、それはあくまでも近在にあるコミュニティ内の『名物』であって必ずしも他人が快とするものではない。あの郷土料理はどうしても美味いとは感じない。いやあそこのアレは、あの時代にそこで過ごしたためにもつよい思い出を『美味い』と感じているためだ。

とまぁ
大概はそんなものだし、後から作られたもの自称する『名物』などもってのほか。某N市の◯む◯やなんてものは美味い・不味いというポイントで語ることはできない、いやしてはならない。あれこそある時代にあったコミュニティの中心にあったもの、すなわち『おもいで話』として語られうるものであって、われわれ部外者が金を出して食べるものではない。相変わらずひどい事言ってるな、おれ。
ところが
すべてが一律、世界中どこまで行っても同じもの。ハンで押したように、どこを切っても同じな金太郎飴とは限らないのが面白いところだ。

あるのだ

ごくたまさかな事ではあるが、名物それも自己申告制の『名物』に滅法美味いものがあったりするからやめられない止まらない。何事にも例外はある。そんなところがたまらなく素敵なところが人の世というものだ。

お前の好きそうな店がある
と知人から教わってから数年が経過してしまった。当然、昭和テイストあふれる風情であるという事でぜひお邪魔せねばと思いながら、昼食だけとりに中野市までというのが実現せず今日にまで至ってしまった。これは無理にでも行かずばなるまい。
中野市の
この辺りには土地勘がない。しかも自動車でぐるぐると回ってしまったので位置関係がまったくわからない。目的地に到達したが駐車場が見当たらない。仕方がないので近在のコインパーキングを見つけ駐車し徒歩で向かう。店までの300メートルほどだろうか。ここは中野市街地のほぼ中心地であったのが理解できる。割烹、食堂、居酒屋、スナックなどが立ち並び、…稼働していない店舗もありそうだが、このような盛りを過ぎた街並みはまったく私好みである。


「金長食堂」




木造モルタル塗りで、外壁隅をタイルで張り込みデザインチックに納めました、という昭和時代によくあった(私の生家も同様だった)手法の建家だ。樹脂製の看板は紫外線で焼けてしまい、褐色に彩られている。

入口の引き戸には
『めん類はございません。あしからず』
と手書きされた紙が貼られている。いちいち断らずともよさそうなものだが、何度も何度も注文されてよほど腹にすえかねているのかもしれない。こういうぶっきらぼうさは大好きだ。

内部は食堂というよりも、茶の間を土間に直してテーブル置いてという風情。隅をみると家財道具やら新聞やらが積み上げられている。ちょっと前に現役から退いてしまった、という空気感がある。われながら失礼な言い方とは思うが勘弁しておくれ。

店主のおじちゃん
これがまた無愛想を絵に描いたようなツラ構えだ。大昔の水島新司に出てきたような、というマンガチックなおじちゃんが、あまり冷えていない水を出してくれる。よしよしいいぞいいぞ。卓上のメニューは極めてシンプルな構成、これであれば悩む必要はまったくない。



名物 ソースかつ丼(並盛) 850円
名物 ソースかつ丼(特盛)1000円
名物 ソースかつ丼(中盛)700円
玉子とじかつ丼 850円
親子丼 600円
玉子丼 550円

一部持ち帰りメニューがあるようだが、基本はこれだけだ。簡素といってもよいかもしれない。これはよい、これなら優柔不断な私でもすぐに決断することが出来る。
「名物 ソースかつ丼(特盛)」1000円


並盛がデフォルトでご飯普通にかつが3枚、中盛はご飯小盛にかつが2枚。となればご飯大盛り、かつ4枚の特盛を注文しなければ私の立つ瀬がないではないか。特盛コールをしてから10分ほどで供される。蓋付きのまま登場するとはニクいではないか。蓋をあげると薄褐色の衣でぴったり覆われた極上の世界が現れる。







ヒレ部分を使っているらしく脂身は少なくしっかりとした肉質だ。細挽きのパン粉で揚げられたカツは衣がピタリと肉にまとわりついている。肉の旨味を余すところなく封じ込めた、まさに揚げ物のあるべき姿といえる。そしてソースにくどさはなくさっぱりした感じ。なによりご飯が美味い。少し柔らかめではあるが、炊き立て熱々であるのがよい。かつとソースの味わいが移りこみウットリするほど美味い。この名物はグレードが高い、素晴らしい。







「貰い物だけどよかったら」
とおじちゃんがくれたのはシャインマスカット。これはよいとありがたくデザートとしていただく。



とっつきとツラがよくないだけで、悪い人ではなさそうだ。帰る間際に数年前から知っていたこと、ようやくお邪魔することが出来たこと、とても美味しかったことを話したら、デフォルトでは信じられないほどの笑みを浮かべ、
「ありがとう!また来てな!」
と喜んでくれる。こりゃおじちゃんの方が名物だな、となんとなくホッコリして帰途へとついた。

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