長野市「乙妻」19年のおつきあい


【お店のデータ】
乙妻
場所 長野県長野市高田338 [地図はこちら]
電話 026-226-4240
営業時間 11:30~14:30、18:00~22:00
定休日 日曜日

移住

長野県に移住して今年で20年になる。
時の流れに疲れ果て、というほどでもなかったのだが、東京でいろいろあったのは確かである。バブルも終り、狂騒やんでヤレヤレと思ったのもつかの間、勤務先が一気に傾きはじめ、困り果てたが逆にこれを幸いとして、いっそのこと長野へ行こう。嫁さんの実家も心配だし、環境の良い場所で子育てするのがよいだろう。そんなこんなで引っ越して来たのが1998年6月のことである。
転職先で最初に配属されたのは松本だった。


排気ガスだらけの東京と違い、澄み切った大気と清麗な水。水が「うまい」と感じたのはこの時が初めてだった。
窓を開け放っていたら、寒くて起きてしまった6月の朝。どうも顔面がぴりぴり痛くて仕方ない。よぉく観察したら紫外線が強く日焼けしたのが原因だった。冬もすごかった。「痛い」としか感じられない寒さ。街中でダイヤモンドダストを見た時の驚愕。
安曇野の山々はどこまでも深く、昼間でも野生動物たちサル、キジ、カモシカを目撃する、イノシシと出くわした時は感動してつい近寄ってしまい、同行の先輩に怒られた。初めて過ごす地方の生活は、東京でのほほん育ったお坊ちゃん(という歳でもなかったが)の予想を遥かに超えるものだった。

そして長野へ

翌年長野市へ転勤。
「めくるめく」体験をもたらしてくれた松本とは、正直別れ難かったが、会社から「行け」と言われては致し方ない。それにもともと来たかった地であるのだから、嫌も応もない。
長野市に来て最初の確認事項は本屋と図書館、そして定食屋の在り処だったのが「らしいところ」と言えよう。双方ともになければ死んでしまう。とはいえ、本屋も図書館もちょいと探すだけでなんとかなる。問題は定食屋だ。
「端から試していけばいつかは」
という手法もなくはないが、それではあまりに非効率すぎる。ここはひとつ口コミを利用するべきであろう。同僚のMくんに、うまくて盛りよくそこそこ安い定食屋を。と尋ねたら教えてくれたのがこの店である。

「乙妻」

おとづま
と読む。今昔物語を思わせるような響きで少々驚いたものだ。こちらはとにかくすごい。大皿にてんこ盛りの惣菜、ドンと鎮座する丼メシ、油揚げと麩、もやしのみそ汁はいつも変わらない安定感をもたらしてくれる。

大盛り!

などとコールしようものならとんでもないことに発展する。定食ものはあの丼メシが二つどん!どん!カツ丼天丼などは蓋が閉まらないほどの大ボリューム。
オムライスは真円のマクラである。よほどの食欲と覚悟をもってして挑むがよいだろう。幾度となく後悔したものが言うのだから間違いない。

こちらのお気に入りはデカい丼に並々と盛られている「豚汁定食」、あるいはもつ煮の汁気をとばし、炒めなおした「もつ焼き定食」。比較的新メニューであるところの「豆腐チゲ定食」なのだが、では最初に食べたものは何であったか。

「焼肉定食」

おそらくこれであろう。
豚こま肉と玉ねぎを甘辛いタレで炒め、千切りレタスと共にドサっと盛られた豪快な一品。
「見ただけでお腹いっぱいに」
と言い放ったのはわが家内であった。
こんなことを考えていると、やはりどうしても食べたくなる。致し方ない、これは行くしかないであろう。乙妻、焼肉とは切っても切れない関係なのだ。
到着したのは12:00少し前だったが、そこそこな入りである。着席するなりお冷やと注文取り。
「焼肉定食!」
のコールの後5分ほどで出てくる。スタッフの機敏さと正確性は見事なものた。これぞ人気店の所以と言えよう。

大皿の…

直結30cmほどの大皿一面に薄く敷かれた千切りレタス、そして強烈な色合いと、猛烈に美味そうな香りを放つ肉!肉!肉!
なにが美味いといって、千切りレタスとともに食すのがもっとも美味いであろう。少々火を入れすぎて、甘たるいタレが焦げくさい臭気を放っている時もあるが、男のコは気にしない。額に汗を浮かべ、唇の周りを油だらけにしながら「かきこむ」のだ。美味い!

ランチはゆっくり楚々として

というあり方は否定しない。あって然るべき、とも思う。しかしながらかきこんでこそのランチ、ガッツいてこそのランチでもあるのだ。ガツガツと食べてこそ午後の戦いに挑むことが出来るのだ。

「乙妻」と出会って19年。これまでありがとうございました。そして、これからもよろしくお願い申し上げます。

【追伸】
そういえば、乙妻の名前の由来を聞いたことがない。今さら改まって聞くのも恥ずかしい。誰かご存知の方がいればご教示されたし。

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