赤いダイヤ


梶山季之という作家がいた。

昭和30年代から40年代にかけての流行作家で「黒の試走車」「赤いダイヤ」など産業スパイや経済小説の分野で活躍した方である。1975年に亡くなっているので、さすがのぼくでもリアルタイムの彼を知る由も無い。

 

ある時
何気なしに手に取った「赤いダイヤ」が滅法面白かったのである。昭和30年代初頭の相場師たちの物語。時代背景が違いすぎるので、飲み込めない部分もあるが、小豆相場を巡って虚々実々の駆け引きが面白すぎる。藤田まこと主演で映画化もされている、ということはずいぶん後になって知ったことだ。

 

その続編で「てやんでぇ」という作品がある。あまり取り沙汰されないので、完成度は高くないのかもしれない。よく覚えていないのだが、一箇所のみ鮮明に記憶する部分があった。

 

この作品で主人公に敵対するキャラクターが親日家のアメリカ人。数奇屋造りの家に住み、五右衛門風呂を好み、食事はカマドで炊いた米のメシ以外は食べないという設定なのだ。

 

「炊きたての飯を大きな丼によそい、アツアツの中に半ポンドほどのバターを埋める。幾分溶けてきたとろに醤油をかけ回して食べる」

 

などという描写が登場する。
率直なところ、当時は

なんじゃそれ?

と思ったものだ。現在でこそ、乳製品をおかずにご飯は普通のことであるが、50年代半ば当時はまだ「ゲテモノ扱い」であったと思う。母親に聞いたら同様の反応をしたし、梶山もそのような描写であったようにおもう。

人間の好み・感覚なんてすぐに変化するものだとつくづく感じる。あゝバター醤油ご飯を食べたくなってきた。

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