長野市「モン マルシメ」オプーの食べていたもの


【お店のデータ】
モン マルシメ
場所 長野県上水内郡飯綱町豊野1752 [地図はこちら]
電話 026-217-2009
駐車場 あり

メルカリ

先だって、「メルカリ」が採用した新卒者の9割が外国籍であり、その中の7割以上がインド出身者であるという記事をよんだ。
インドといえば厳しいカースト制、ヒンドウー教の戒律や、チャンドラ・ボース、マハトマ・ガンジーなどイギリスからの独立運動といった政治宗教が取り上げられる事が多いと思う。
だからつい、インダス川の光景が思い出され「うへぇ」としてみたりと、なにやら落ち着かない国である。というイメージがある。

豊穣の地

しかし、この辺りはマスコミよって相当な部分を作られたものらしい。「らしい」というのは行ったことがないからだが、数千年もの歴史を紡いできた国が、悪いだけのものであるわけがない。
「あんな汚い国はない、あんな人を騙す嫌な国はない」
という人もいるようだが反対に流水りんこのように
「インドほど豊穣なところはない」
と熱く語る者もいる。
何にせよ、未訪の地ゆえよいとも悪いとも語れないのが腹立たしい。いつか行ってやるぞと心に秘めてから、ずいぶん長い時間が経ってしまった。

インドと私

昔住んでいたアパートの隣に、インド人の若い男性が住んでいた。
…などというエピソードでもあれば話は早いのだが、生憎と在庫がない。だからインドと私を結ぶ線はカレーと映画くらいしかない。カレーはさておき、映画は数本しか観ていないという、ごくか細い線でしかないが、その圧倒的な存在感は忘れる事ができない。

インド映画とサタジット・レイ

Satyajit Ray with Ravi Sankar recording for Pather Panchali

ヒットした「バーフバリ」も凄かったが、私としては「大地のうた」(1955)をフェイバリットとする。
この映画は後にインド映画界最大の巨匠となるサタジット・レイの監督デビュー作である。まだサラリーマンであった彼が、仲間と共に数年の時をかけて、ゆっくり丁寧に作り上げた作品である。

大地のうた

この映画はインド北東部ベンガル地方の、貧村に住む少年オプーとその一家の日常が描かれる。ストーリーといえるような筋はなく、淡々と散文的で美しい映像が紡がれる。
草原を走る、大きな黒々とした機関車を追いかける姉とオプー。祖母の老木が朽ち果てたかのような死。流麗・清麗な画面から感じられるのは「色彩」である、モノクロなのに。
隣家の娘の首飾りを盗んだと疑われる姉。オプーの大好きなお姉さんはあっけなく死んでしまう。ニューデリーに引越す一家。荷物を運び出し、がらんとした室内に残された姉の茶碗。オプーが取り上げると、そこには隣家の娘の首飾り。ああ、姉は本当に盗んでいたのだ。誰にも告げず、裏の沼に投げ込むオプー。
すべてがパーフェクトに決まった作品であると思う。このヒットを受け、第二作、三作の製作されたが、やはり「大地のうた」が最もよい。

オプーが食べていたもの

映画鑑賞において、観るべきポイントは人それぞれであると思う。笑えるか、楽しいか、感動するか、スピーディであるか。一点のみではなく様々な要因が挙げられる。私の場合もいろいろあるが、中でも大きいのが「どんなものを食べていたか」である。なんだ、お前らしいな。と言われそうだが淀川長治や池波正太郎といった観巧者どもも、同様な事を語っていたり、著書もあったりするのだから、ごく当たり前でもある。
「大地のうた」にも食事シーンがたくさんあるが、主体的な描写がないので、何を食べているかまではわからない。インドだからカレーなのか?でもあまり褐色にみえないし、生野菜っぽいものも食べているぞ。と、長年疑問を持っていたが、今回、ああこんなものだったのか?と思わされるような料理と出会うことができた。

モン マルシメ

飯綱町豊野、というより福井団地といった方が通りが良いかもしれない。大きな住宅街の片隅にこの店はある。洋風クラシカル、といった風情の外観である。敷地の形状や高低差を使った、かなり複雑な平面だが、デザインと素材とで処理したかなり「上手い設計」である。見習わねば。こちらで食べさせてくれるのは「ミールス」と呼ばれるワンプレートスタイルのランチである。

ミールス

全体を見ていこう。
大きな丸皿の中心には、丸く型どられたインディカ米とパパドと呼ばれる大豆のせんべい。その周りには漬物とペースト、五種のおかず、そしてスープがついてくる。

食べ方

おかず類を列記すると以下となる

しょうがのアチャール

しょうがの漬物。けっこう辛い

ココナッツチャトニ

ココナッツのディップ

ダール

インド全土で食べられる豆の煮込み。優しい味わい

ラッサム

南インドミールスには欠かせない一品。トマトとタマリンドの酸味が効いた汁物。

ブロッコリーのトーレン

ブロッコリーとたくさんの野菜にスパイスをかけ、和えたもの。辛い。

白菜のクートウ

白菜のスパイス煮

パプリカのパチャディ

パパド

大豆のせんべい

サンバル

南インドを代表する豆と野菜のスパイス煮。スパイシーでカレーっぽいスープ。今回はオクラとなすが入っていた。これがもっともお気に入り。

これらをご飯に混ぜ合わせていただくのだ。
一品でもよし、数品でもよし。いや全部でもよし。とにかく混ぜて混ぜて混ぜて。最初はシンプルな味わいだが、次第に複雑化してくる。この変化が面白くてたまらない。
混ぜて食べる、というのは作法からすればあまり良いとはされないが、そんなことはインドでは気にしない。美味い、これは美味い。パサつくインディカ米がこれほどの包容力を持つとは、いささか買いかぶっていたようだ。

マサラチャイ

ひと通り食べ終え、お腹がいっぱいになったところでドリンクが登場する。今回はマサラチャイを選択。ミルクティーに様々なスパイスを加えたものらしい。しょうがが効いていてじつに美味い。北杜夫「白きたおやかな峰」にもこのチャイが登場する。現地人ポーターの入れたチャイには、スパイスやギー(羊のバター)が大量に投入されているので飲めない!という場面があったが、こんな感じだったのだろうか。

オプーの食べていたもの

もっともこれは主に南インドで食されるスタイルだという。「大地のうた」の舞台とは違うので、オプーが食べていたものかどうかは定かではない。見た目も在り方も、非常に似ている。違いはおいおい調べるとしよう。


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