東御市「Nonna Giniaノンナジーニャ」料理と会話と雰囲気と
店名 Nonna Ginia ノンナジーニャ
場所 長野県東御市加沢682-2
電話 0268-62-6780
バリアフリー ◯
駐車場 あり
名前で呼ばれることはほとんどない
仕事の場でも、市役所や病院での呼び出しでも、まず姓で呼ばれる。まれに同姓の人がいて混同を避ける必要があるときだけ、姓名で呼ばれることがあるくらいだ。家庭においても、呼び方は「お父さん」「お母さん」あるいは「お兄ちゃん」「お姉ちゃん」など、役割や立場で呼ばれるのが普通だ。改めて考えてみると、これは不思議な習慣である。海外、特にアメリカなどでは、大統領に対してもジャーナリストが「ハイ!ドナルド!」と、まるで旧知の友人のようにファーストネームで呼びかける光景が見られるのに
作家・井沢元彦によれば
これは日本特有の文化だという。日本は「言霊」の国であり、言葉に宿る力を強く信じてきた歴史があるため、相手を本名で呼ぶこと自体が失礼とされる傾向があるというのだ。詳細は著書『逆説の日本史』を読んでほしい。論理展開が時に強引なところもあるが、刺激的で面白い読み物だ
東御市を東西に貫く国道18号線
そのすぐ南側、旧中山道とほぼ並行して走る県道165号線を南東方向へ少し進む。今日はじめて、この道が「東部望月線」という名を持つことを知った。言われてみれば、旧東部町から望月町方面へ抜ける道筋なのだから納得だ
この沿道には
「ふるさとの草生」や「鹿曲」といった名の通った店がある。「ふるさとの草生」の名物は、前人未到とも言える迫力の「為右衛門そば」。一方「鹿曲」のかき揚げ丼は、軽い気持ちで手を出すと後悔するほどのサイズで、いずれもデカ盛り愛好家の私にはたまらない存在だ。ここ東御市加沢あたりは、かつて仕事で頻繁に訪れた地域で、風景にも馴染みがある。本日連れて行っていただいたのは、そんなよく知る場所から少し入ったところにある、瀟洒なお店であった
「Nonna Ginia ノンナジーニャ」
南向きで見晴らしのよい、明るい敷地に建つ、洋風の建物。洋瓦とスタッコ外壁の可愛らしい外観は、個人住宅。あとでマスターにお訊ねしたら、2階はご自身の住まいとのよし。せっかく店をおこすのだから、凝ったつくりにしたかった。というだけあって、こだわりのデザインがかっこいい。間仕切り壁の角を丸くふわりと納めてみたり、化粧梁をさっと見せてみたり。といって
「これカッコいいでしょ!」
とでしゃばって見せたりする事もない、奥ゆかしくもおシャレなつくりがじつによい
こちらはイタリアンときいて
日常的に大盛り街中華あるいは、デカ盛りカツカレーくらいしか食べていない身としては、イタリアンってナニ?という感じなのだ。身の回りには和風ナポリタンかピザトーストくらいしかない、…などという事はないが、ファーストチョイスではないので、ややドキドキしている
こちらは
基本コースメニューとなっている。
Aランチ
Bランチ
Cランチ
と3種ある。それぞれ構成が違うのだが、前菜、パスタ、メイン料理、デザートがそれぞれ数種類ずつ用意されているので、いろいろ楽しむことが出来る。私のオーダーは
「Bランチ」4800円
以下、登場順にお知らせしていく。
【前菜】高知県産 カツオのタタキ風 サラダ仕立て ワラビのソース
大ぶりに切り取られたカツオのタタキ数切れと、野菜類、オクラ、ミニトマト、新じゃが、カリフラワー、サニーレタスなどを、ドレッシングと共に合わせたもの。カツオがぷりっぷりなのだ。いつも食べている冷凍ものとは天と地の差くらいあったぞ。いったいナニと比べているのか。野菜どももシャキッとしている。そしてドレッシング。ワラビのソースというが、軽い酸味と滋味ふかく味わいがすごい。あの酸味は梅だったのか?きいてくればよかった
【パスタ】スパゲッティ 石川県産イワシのウイキョウソース(パスタ・コン・サルデ)
スパゲッティとイワシ?どのような組み合わせになるのか。最初は別のものとする予定であったが、好奇心が勝ってしまった。イワシといえば、生ぐさくなったりはしないか。左様に考えて、恐る恐るという感じではあったがさにあらず。しっかり出汁を効かせた、優しくも硬派な味わい。この手の料理は大量ガーリックで、というパターンが多そうだが、そうはいかないのがノンナジーニャ流という事か。たった今調べてみたら、パスタ・コン・サルデとはシチリア島のご当地パスタなのだとか。ヴィト・コルレオーネやマイケル・コルレオーネも食べたのか。美味いものを前に想像力(妄想?)が羽ばたいていく
【メイン料理】東御市産 「夏鹿」モモ肉のロースト
地元産の鹿を用いた、という事であろうか。牛・豚・鶏の肉はさんざ食べているが、鹿肉とはあまり出くわした事がない。脂肪分の少ない、赤身肉は火入れの具合が最高でとてもさっぱり。ソースは、…忘れてしまった。映画「若大将シリーズ」のどれかで馬肉と鹿肉と、なんて話をしていたからかもしれない。もちろん盛大にスベったが。そえられた野菜のミルフィーユもよかった。薄切りにしたトマト、ズッキーニ、なす、じゃがいもなど重ねてグリルして、という凝ったもの。あああ野菜が美味いのは幸せだ
【デザート】ティラミス
「ティラミスってチーズケーキなんだよね」
と言ったのは高校の同級生であったOくんだ。こちらもさほど知識はないから
「ふぅぅん、そーなんだァ」
と、FUJIYAカップ入りのティラミスをオトコふたりで食べたのは1988年くらいであったか。マスカルポーネチーズを用いているから、チーズケーキの一種ではあろうが、なんとなくバブルなデザート、というイメージは抜けない。
そうはいっても、このティラミス
バブルっぽくないぞ。などというと叱られそうだが、サラリと一歩も二歩も引いている。いや、ティラミスだけではない、料理全般がサラリとしていて嫌味がない。イタリアンといえば、びしっとガーリック!というイメージがなくもないが、こちらはさにあらず。あくまでも素材と味わいで勝負。食事は料理だけではなく、会話も雰囲気もよくあるべきでしょう。そんなマスターの心意気が伝わってくるようであった。うーむ、名店は違う
そうはいっても
呼び方というものは固定されたものではない。人にはそれぞれ事情や立場があり、その時々で呼び方を変えることが、円滑な人間関係やより良い方向への流れを生み出すこともある。呼び方ひとつにも、場と人との関係性が映し出されるのだ。ましてや、これから関係性が深まるとあらば。そんなわけで
雅裕さん
晴水さん
今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。
コメント
本当に楽しい時を過ごせました。
こちらこそよろしくお願いします