長野市「萬宝食堂」きさらないかつ丼

かつ丼

店名 萬宝食堂
場所 長野県長野市屋島南屋島3619-5
電話 026-243-2996
ジャンル 食堂
バリアフリー ◯
駐車場 あり

長野にきて今年で22年になる

もともとCity Boyではないし、生まれこそ新宿区だが調布、府中、多摩と郊外へ移り住んでいったから東京とは名がつくものの、ほぼ山野の風景にいたからあまり違和感なく過ごすことができた。という事は幾度となく語ってきたし、当然受け入れてくださった周囲の方々への感謝の気持ちも忘れない。

違和感はなくとも不思議に思うこと、おかしく思ってしまうこというのは今でもある。という事も幾度とも語ってきた。日常生活の中であるのはやはりディープな信州言葉である。
「こういう言葉があるよ」
とか、書籍で読んだりとだいたいの知識はあるが、ディープすぎて使う人と接したことがない、そんな方言はいくらもある。『なっちょ』なんて言葉は雑誌のタイトルになっているに関わらず一度しかライブで聞いたことがない。

そんないまだ東京風のある私が、しばらくぶりに、しかもふたつ立て続けにディープ信州言葉に接することができた。ひとつ目は

「まてー」

まてーとは『丁寧な』あるいは『まじめな』であろうか。年配の知人が語った
『あのしょーらはまてーだから』
あの人たちは丁寧だから、というくらいの意味であろうか。ずいぶん前、15年くらい前に別の年配の知人が使っていたのを聞いて以来だから、やはりディープな範疇に入るであろう。次は

「きさらない」

蓋ができない、覆うことができない。とでもいう意味だろうか。じつは家内がたまに使う方言、曰く『南信方言』なのだが、これも先だってある職人さんが使っていた。外で聞くのは初のことで面白いというか、ああ本当にあったのだなぁ、となんとなく不可思議な感慨に耽ってしまった。

「萬宝食堂」

市街地から長野東・須坂インターに向かい、屋島橋の少し手前にある食堂だ。職人さん達が集まる、ブルーカラーご用達という感のある店構えが好きでちょくちょく使わせてもらっている。…だって私もブルーカラーだもの。美味しくて盛りがよくてそこそこな価格となれば繁盛して当たり前だが。油染みた壁にかかった木札、という昔ながらの姿は食堂好きにはたまらない風情だ。

こちらのもつ煮はニンニクが効いていてとてつもなく美味いのだが、いかんせん午後に仕事が控えている身としては単にいただきます、というわけにいかない。したがって、もつ煮と並ぶこちらの名物を注文する以外にはないではないか。

「かつ丼 大盛り」1100円

刮目してみよ!この蓋のかぶさらない、いや『きさらない』かつ丼を!学生街でもあるまいし、いくら大盛りだとはいえこの姿は尋常ならざるものとして認識せざるを得ないであろう。

それに煮かつが丼がはみ出しているのも凄まじい。厚みも表面積もデカいデカい。だからといって盛りだけではなく技量もすごいのだ。玉子もセオリー通りのプルプルが魅力を発揮している。炊き立てでむせ返るほど熱々のご飯もよい。なにはさておき甘い味つけがよいのだ。これくらいの方が『昔ながら』という感じてよい。大盛りだからもう少しつゆだくでもよいのだが、それは次回リクエストしてみよう。

方言(といえるかどうかは不明だが)もあまりディープになりすぎると認知度が低いらしく、先の『まてー』も、同席していた私より歳上の北信生まれの方に聞き返されていたのだか。信州長野もまだまだ奥深いものがあって、面白すぎる。

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