店名 カフェ&ワイン Banco Ramo
場所 長野県長野市南石堂町1261-1 1F
電話 026-219-6439
ジャンル カフェ
バリアフリー △ 入口に段差あり
駐車場 なし
学生時代からの
友人にA(もちろん仮名だしイニシャルでもないから詮索しても無駄だよ)というものがいる。双方ともに所帯をもってしまった現在でこそ5年に一度くらい会うくらいになってしまったが、それこそ10代の後半から20代半ばくらいまではしょっちゅう行ったり来たりしていた関係だ。
趣味好みはまったく合わなかったが、考えが近かったり同業だったり、お互い独居だったりと良いことや愚痴の言い合いだったり、その他会えば夜がふけるまで大地が明るくなるまでペラペラといつまでもおしゃべりしていたものだ。
盃を交わしながら、タバコぱかぱか吸いながら(2人ともやめたけどね)話すことはといえば絶対にこの世のためにならないことを、ツラツラだらだらという取り止めのないおしゃべりを続けたのはひとえに同級生と過ごすひと時が楽しくてたまらなかったからだ。
ある時
Aが物騒なことを言い出した。
「お前、マリファナやった事ある?」
…ねーよそんなもん。お前はあるのか?
…いやないけどさ。
聞くと以前やっていたバイトの先輩が秘密ルートで手に入れたものを譲ってくれるという。
「や、やってみない?」
…ばーーーか。やるわけねーだろ
そうでなくとも物事にハマり、いや溺れやすい性格なのだ。そもそも犯罪じゃないか。興味がない、と言ってしまえばウソになるが、手が後ろに廻るのがわかっていて事を起こすほどバカでも物好きでもない。いいか、絶対に手を出すんじゃねーぞ、とくにお前みたいなバカはやるんじゃない。と一括してその場は終わった。…はずだった。
「カフェ&ワイン Banco Ramo」
南石堂町の裏手というか、南石堂パーキングの並びという場所にあるカウンターだけのカフェだ。オープンしてひと月経っていないという。回転のよいちゃきちゃきお兄さんというイメージのイケメンマスターのおすすめは
「溺れたティラミス(アフォガード)」600円
アフォガードとはaffogato、すなわち溺れたアイスを指す。アイスの上に飲料をかけ、溺れたものを食すという優雅極まりないスイーツだ。こちらのアフォガードはティラミスのアイスに熱いエスプレッソをたらりとかける。
…お好みですが、少しアイスを食べてからエスプレッソをかけた方が美味しいかも
というマスターの言葉通りにいただく。濃厚チーズのティラミスは幸せそのもの。クッキー入りで素晴らしさ倍増。
そしてエスプレッソを投入。あああああああああ、美味い美味すぎる。冷たいティラミスアイスと熱いエスプレッソが合わさる刹那、熱と甘さと濃厚さと香りなどなどすべてがとろとろになりつくし…。あああああ私もエスプレッソに溺れたい。すべてを捨てて溺れに溺れて果てたい。もうどうなってもよいのだ。あああああああ
しばらくして
Aがふらりとやってきた。なにやらニヤニヤ言いたげでいる。
…きたぜ
…なにが?
…マリファナ♡
バカが。好奇心に負けて先輩からもらってきたらしい。この野郎110番したろか。まぁいいやちょっとみせてみろよ。Aが取り出したのは怪しげな小箱ひとつ
…先輩から一箱10000円で買ってきた。さぁ一緒にトリップしようぜ
…すれば?とめないよ。そんなものでトリップできるならいくらでも
…へ?
…それGARAMっていう洋モク。お前先輩にはめられたんだよ。
GARAMとはインドネシアのタバコで怪しげなデザインとハーブの独特の香りで、当時マリファナっぽいと知られていたもの。まんまと騙されたAの顔はいまだ鮮明に覚えている。
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