長野市「割烹ひさご」割烹と恐竜

和食

店名 割烹ひさご
場所 長野県長野市篠ノ井布施高田912 [地図はこちら]
電話 026-292-0028
ジャンル 割烹
バリアフリー ◯
駐車場 あり
食べたもの 「元祖 恐竜揚定食」1200円、「宇治金時氷」700円

まことに典型的な庶民、いやビンボー人に生まれついたためか高級なものに接したことがない

この場合の「高級」とはそこいらのスーパーで見かけるような惹句としての「高級」ではない。正真正銘、ホンモノの「高級」を指す。価格が高いというだけではない、格やレベル違いを認識させられるくらいの「高級」だ。具体的にどんなものか、と問われてしまえば昔の(30年以上前の)銀座のような雰囲気であろうか。街そのものが「貧乏人と子どもは来るんじゃない」と言っているかのような。そんなビンボー人に料亭、割烹などといわれてもなにが何やらでしかない。

だって行ったことないし

というか同じものなんでしょ?と思っていたのだが、気になったのでちょっと調べてみたら、双方とも主に日本料理を提供する場所で

料亭
個室の座敷形式となっている高級な飲食店舗で、接客専門の仲居さんや、芸妓を呼ぶこともできる。

割烹
カウンター形式となっていて会食というよりも、料理を楽しむための場所

との事。へええそうなんだ。後者の方がとっつきやすそうな感じであろうか。おれ定食屋にしか行ったことがないからなぁ。そんな事を言っていたら割烹に連れて行ってくださる優しい方がいた。ありがとうございます。という事でお邪魔したのがこちらだ。

「割烹ひさご」

篠ノ井駅のほど近い、小道を少し入ったところにある店舗だ。道沿いに欅板の看板はあるのだが、入り口は別に奥まったところにあるのでやや戸惑ってしまうが、これが隠れ家感を醸し出す演出となっている。

落ち着いた色調のインテリアに大きなカウンター

はまさしく『割烹』という風情そのものではあるが、厨房は別のところにあるようだ。奥に広いテーブル席があるというのでそちらとさせていただく。

メニューを確認すると

割烹らしくふぐやすっぽん料理、松花堂弁当などがあるが、ランチメニューとして焼魚やフライの定食もある。ここで『らしさ』にこだわるのであれば松花堂弁当を注文し、静々といただくのが筋ではあるが、そこは私のする事だ。並の感覚で済ませたくはないのだ。

「元祖 恐竜揚定食」1200円

『割烹』と『恐竜』とはもっともふさわしくないコンビネーションではないか。訊けば山賊焼きのようなメニューではあるが篠ノ井恐竜公園を顕彰してこの名をつけたのだとか。なるほど
“信州福味鶏もも肉一前揚げ”
とはこのことか。『一前揚げ』というのが割烹っぽいような気がする。

半円形のトレイに乗っているのはメイン、小鉢、漬け物、味噌汁、ご飯という定番の姿である。小鉢ものは蕗としいたけの煮つけだ。甘辛い味つけと軽くふられたゴマの風味が心地よい。漬け物はニンジンとナスキュウリ。キュウリは醤油漬けであるのが気に入った。

恐竜揚げは

恐竜らしく厚く大きいサイズ。一般的な山賊焼きよりも下味あっさり。当然ニンニクも軽めだから品よく治まっている。備えつけのポン酢を用いると格が一段上がる。イグアノドンがヴェロキラプトルまたはパラサウロロフスに進化したような感じと言えばご理解いただけるであろうか。え?わからない?

これはやはり和食にカテゴライズされうるメニューであろう

となればデザートも同様に和に傾いたものを欲する。仲居さんに訊ねたところかき氷が始まっているという。なるほどもうそのような季節なのだ。苺、杏、黒蜜きな粉と魅力的なメニューが並ぶが私はやはりこれが一番好きだ。

「宇治金時氷」700円

ごく細かく削られた氷は、それは見事なほど美しい。その表面は宇治茶の緑に染められ頂きにはつぶあんが荘厳な光を放っている。緑の山肌の麓をみると小さな白玉がふたつ鎮座している。時と場によっては主役を張る器量を持ちながら、あえてこのように構えることこそ“粋”なあり方といえる。

この氷をいかに攻略するか

このような荘厳な存在は正攻法で攻めてこそであると確信する。山肌の中央部から掘り進み少しずつ食していく。崩落してこないよう周囲を固めつつ、上部のつぶあんも少しずつ片づけていき、重量を減らしていく。かように繊細に食べてこその美味くなるのだ。

初めての割烹を

たっぷり堪能させていただいた。いずれ料亭で宴を開き、芸妓をあげてのどんちゃん騒ぎをしてみたいと心底思うが、まぁ絶対にないだろうなぁ


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