店名 わだや
場所
026-243-0395
長野県長野市西和田1-27-12
バリアフリー ◯
駐車場 あり
食べたもの 「ミニ海老天丼セット」1000円
「わだや」
長野市、平林街道に沿ってたたずむそば屋さん。今回初めてお邪魔したのだが、その扉をくぐった瞬間から、私の日常はまるでタイムトラベルを果たしたかのような気分に包まれた。創業は遠い1958年、その歴史が店内の一隅に響き渡り、時の痕跡を垣間見るかのようだ。老舗の名に相応しく、今回の食事を通じて「わだや」がただの飲食店ではなく、食の神殿であることを改めて実感させられた。
店主は
戸隠での修行を経て店を継いだ彼は、ただの料理長ではなく、食の詩人としての魂を秘めていることが見て取れる。店の掲示にあった
「今日はそば粉の状態がよくないため二八そばのみの販売としています」
という一文が、まさにその真面目な性格と、食材に対する責任感を物語っている。店主の姿勢は、食事をとるこちらの心に敬意を抱かせるものであり、そば一つ一つに込められた彼の情熱を感じずにはいられない。
その心温まるサービスも
また際立っていた。接客してくれた女性ふたりは、まるで食事の儀式を導く祭司のような存在。食事の進行を神秘的なテンポで導き、食事とともに訪れる日常の喧騒を忘れさせてくれた。彼女たちの微笑みは、まるで幸福のスパイスをたっぷりと散りばめたようであり、そのおもてなしの心が食事の味わいを一層高めていたことは言うまでもない。
「お得ランチメニュー」1000円
その価格は1000円にもかかわらず、その内容はまさに五つ星レストランに匹敵する贅沢さだった。曜日によって変化する内容となっており
月 ざるそば+ミニ豚丼
火 ざるそば+ミニソースカツ丼
水 ざるそば+ミニ海老天丼
金 ざるそば+ミニカツ丼
という構成となっている。本当は玉子とじのカツ丼を所望していたのだが、生憎なことに本日は水曜日。だからといって、これはこれでまったく望ましいメニューといえる。
「ざるそば+ミニ海老天丼セット」
言葉を失わせるほどの美味しさとボリュームを兼ね備えていた。「ミニ」の名が冠されている海老天丼は、名ばかりであり、けっこうなサイズだ。
オクラ、なす、さつまいも、そして大きな海老が絶妙なバランスで美味の協奏曲を奏でる、まさに贅沢の極み。天ぷらたちが、タレとの愛のデュエットを繰り広げる様子は、まさに食事の交響詩と言えるだろう。
目の前に現れた蕎麦
掲示通りの二八蕎麦は、まるで芸術作品のような美しいフォルムを持って盛り付けられていた。その姿はまさに清楚でありながら、品書きに記された
「まずはローズ岩塩で」
という店主の指示により、ぱらぱらふりかけ、そのまま口にする。ああ、蕎麦ってもともと甘いのだ。蕎麦を知り尽くした店主の心意気がみて取れるようだ。口の中に広がるのはまさに幸福の味わい。そして、鰹の出汁が香るツユの中で蕎麦を頬張ると、まるで心の琴線に触れるような美味しさが広がった。
蕎麦湯もまた
ただの湯ではなく、蕎麦粉を溶かした特別な一杯だ。その重みを感じさせるトロリとした質感は、まさに食後の贈り物。ツユと融合する瞬間、蕎麦湯もまた新たな美味しさを纏った姿に変わり果てた。
「わだや」という名は
まさに日常の喧騒から一歩足を踏み出した、食への讃歌となるべき存在であることが、この食事を通じて私の心に響いた。創業以来の伝統と、店主の魂が織り成すこの神秘的な場所は、今後も食と共に歴史を紡ぎ続けることだろう。それを垣間見た今回の昼食体験は、私の心に永遠に刻まれることだろう。
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