店名 南国飯店
場所 長野県下伊那郡阿智村駒場1502-2
電話 0265-43-2283
バリアフリー ◯
駐車場 あり
「東京ってすごいよね」
東京に移り住んだ息子が、しばらくぶりに帰省したときにしみじみ語り始めた。とにかく先方は便利なのだという。長野にはナニもないわけではないのだが、やはり首都は違う。飲食店にせよ、コンビニにせよ物量が違う。ふりむけばアレもある、コレもある。こんな住宅街のど真ん中になんでセブンイレブンがあるのか。そしてなによりも
「電車やバスが3分おきにくる」
彼のいう通り山手線などは3分おきに出たり入ったりする。ピークタイムの時刻表など堂々と
「だいたい3〜5分といえばくるから安心してね」
とかいう表記があったりする。
わが家前の幹線道路を通る路線バスは朝晩のラッシュ時で1時間に3本、昼間は1本あるかないか。JRでいえば篠ノ井線も路線バスと似たようなものだから、長野県って田舎なんだねぇ。県庁所在地ですらコレだから、他所は推してしるべし。
遠出をする
用事ができた。もちろん仕事での事だが、なにより楽しくてならぬ。そもそも知らぬ場所に赴くのが好きでならない。50半ばを過ぎ、様々な事を置き去りにしてきたが、好奇心だけは尽きない。良いことなのか悪いことなのかわからぬが、それが私という人間なのだ。いまさら変えることなど出来るわけもない。そして場所といえば
飯田市
市としては長野県最南端となるのか。北信 長野市からは150Kmほどの道のりとなる。これまで数度、訪れたことがある。元善光寺やら川本喜八郎人形劇美術館といった施設を観てまわる、すなわち物見遊山で数時間滞在した程度ではあるが。南信は娘が数年間住んでいたから、伊那・駒ヶ根くらいまでなら多少の土地勘はあるが、飯田まではわからない。うーむ、楽しい楽しい
問題は
飯田までどのように向かうのか。本音を言えば公共交通機関を使いたい。仕事とはいえ、時間をかけてゆったりと、本を読んでもよし、YouTubeを観てもよし、もちろん寝てもよし。少しは物見遊山な気分を味わいたいではないかーーッ!
そうはいっても
飯田線を使うにせよ、高速バスを使うにせよ時間が合わない。山手線のように3分に1本来るわけもない。そもそも駅から現場までどのように参るのだ。とゆーわけで道程は車両と相成る。優雅でも、SDGs的でもなくなってしまうが、これはこれで仕方がない。ではせめて飯田で美味いメシをいただこう。少し早めに出て、ゆったりと。と思っていたのだが、出発に手間取ったのと、目測を誤ってしまい思ったより30分ほど遅れて到着。やはり飯田は遠いよね
「南国飯店」
飯田出身ではないが、こちらがルーツである友人から教えてもらった中華屋さん。国道153号線に沿って佇んでいる店舗で、決して新しくはないが、開放感があって心地よい。前面道路はバス停になっているのであろうか。少し広くなっているのもヌケのよさにつながっているのであろう。内部は細長い平面で、片側は小上がり席、道路側はテーブル席となっている。どちらでも、と言われたが1人だし明るい方がよいと道路側とする。
ここは何をたべても美味い
と、友人が力説していたので安心してメニュー選定に取り組む。各種ラーメン、炒飯、麻婆丼、中華丼、定食もの。レバニラいいなぁ。赤くはないが、典型的な町中華な風情なのがよい。いつも通り、熟考に次ぐ熟考と右顧左眄、様々なる逡巡と優柔不断の果てに決定したのが下記となる。
「焼きギョウザ」450円
小ぶりではあるが、パツンパツンに仕立てられ、しっかりと中詰まってますよ!という風情だ。可愛がっていた親戚の女の子が、嫁いだ先でどんな生活をしているか。心配で恐る恐る見に行ったら、「しっかりと」どころか家の中心となって全体を切り盛りしていて、どエラく安心した。そんな感じのギョウザであった。え?理解できない?
「チャーシュー麺」990円
だから『チャーシューメン』ではなく『チャーシュー麺』なのがよいではないか。醤油一択なのもよい。アレもできます、コレもよいです。というのは楽しみでもあるが、面倒なこともこの上ない。醤油ラーメンいいなぁ
薄いブルーの丼全面に展開する
4枚のチャーシュー。他にメンマ、ワカメ、ネギが浮かんでいるがそんな事はどーでもよろし、このメニューの主役はチャーシューなり!と言わんばかりの構成だ。
脂多めのバラ肉が用いられており、かなり分厚い仕立てとなっている。食べる前に『絶対に美味い』と確信できるフォルムだ。この迫力と、あっさり醤油スープ、やわやわな麺との凄まじき相性は特筆すべきであろう。
「小ライス」160円
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このスープ、このチャーシューを前にしてライスを頼まずにはいられない。分厚いチャーシューをご飯にのせ、くるくるっと巻いみる。チャーシュー巻きというヤツだが、脂身と醤油スープの塩梅でメシが美味い美味い。ああああオレは幸せだ、太陽がいっぱいだ。飯田まで来てよかった。
ほやほやと暖かい気分で
店を出る。あああ、南国飯店というのはコレを意味するのか。メシは美味いし清楚なマダムの対応は素晴らしいし。これが長野にあったらなぁ。とはいえ、ここまで来て味わうからこその美味でもあったのだ。飯田に来る楽しみができた、さぁ仕事に参ろうか。
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