長野市「手打ちそば処 横綱」大暑熱の中の横綱そば

そば

店名 手打ちそば処 横綱
場所 長野県長野市小島田町1384
電話 026-283-4527
バリアフリー △ 入口に段差あり
駐車場 あり

 

梅雨なのか、もう明けたのか

よくわからない空模様が続いていたと思ったら、いきなり30度を超える夏日が連日やって来た。毎年のように言っているが、今年の夏は本当に異常だ。長野県は湿度が低いから、少々暑くても過ごしやすい……というのは、もはや過去の話。そんな常識など、とうに崩れ去った

いまや信州とて

容赦のない蒸し暑さに包まれている。地元の人々が「エアコンなんて贅沢だ」と笑っていた時代は、遥か昔。思えば27年前、この地に移り住んできたとき、エアコンを取り付ける家庭なんてほとんどなかった。それが今や、夏を生き延びるための必需品。もはや文化が変わったといっていい

地球温暖化

という言葉がニュースや教科書で語られていたのは、ほんの少し前のことに思えるが、もはやその“兆し”ではなく、“現実”としてここにある。蝉の鳴き声も聞こえぬうちにこの猛暑。もう笑えない。たかが気温数度の上昇が、こうも暮らしを変えるのかと驚くばかりだ。次世代にこの世界をどう引き渡すか、真剣に考えねばならない。今のままでは、地球が人間を拒絶する日も遠くない。サステナブルだのSDGsだのと、耳に心地よいスローガンばかりが踊るが、それ以前にまず、自分の頭が暑さでどうにかなりそうだ

そんな取り留めのない思索を巡らせていたら

気がつけばランチタイム。腹は減る。どんなに暑かろうと、昼は来る。だがしかし、この暑さ。耐え難い。念のために、繰り返しておきたい。暑い。暑い暑い暑い暑い。言っても涼しくなるわけではないが、言わずにはいられない。暑い。暑い暑い暑い暑い。汗が吹き出すどころか、全身が滲み出るような気配。そうなると、食事の選択肢は限られてくる

熱いものを食べて涼を得るという

“修行僧的”なスタイルもあるが、私のような凡人にはとても無理だ。無理をして命を落とすようなことがあっては、元も子もない。したがって、答えはひとつ。蕎麦である。蕎麦なら冷たく、喉ごし爽やか、そして腹も満たされる。信州といえば蕎麦、蕎麦といえば信州。誰が言ったのか知らないが、まさにその通りだ

「手打ちそば処 横綱」

川中島古戦場公園の入口、あるいは駐車場の脇といったほうがわかりやすい場所にある。公園に付属した施設だから、フードコート的な簡易店かと思いきや、完全に裏切られる。もちろん、良い意味でだ。ここの蕎麦は、侮れない。むしろ名店といってよいだろう。平日でも昼時には行列ができるのも納得がいく。暑さの中で並ぶのは酷なので、今日は少し早めの11時30分に到着。すんなりと入店でき、カウンター席に通された。客入りはすでに8割ほど。さすがだ

 

「横綱そば」950円

店名が冠されている時点で、これは看板メニューだとわかる。その姿を見て、思わず息をのんだ。もりそばの三倍はあろうかという山盛り。まさに横綱級の貫禄。しかもただ量が多いだけではない。細身でしなやかな蕎麦はキンと冷えていて、まるで精密機械のような繊細さを感じさせる。つゆは鰹の出汁がしっかりと効いた、甘さ控えめのキレ味鋭いもの。どこか江戸風とも違い、信州らしさを残しつつも、個性が際立っている

これは本物だ

東京の老舗蕎麦屋、池波正太郎が通ったという「まつや」や「藪蕎麦」などとは方向性が違うが、これはこれで素晴らしい完成度だ。美味い、美味すぎる。こうなると、もう一品食べたくなるのが人情だ

「ミニかき揚げ丼」370円

このかき揚げが、また面白い。衣はさっくりではなく、ばりばりと硬質で、まるで煎餅のような食感。かなりクリスピー寄りで、好みは分かれるかもしれないが、私はこういう変化球、大歓迎だ。玉ねぎとにんじんという王道の素材ながら、しっかりとした厚みがあり、食べ応え十分。タレがしっかり染みたご飯との相性も抜群で、箸が止まらない。やはり、美味い、美味い、美味い

満腹と満足感に包まれて店を出る

だが、外の暑さは容赦がない。さっきまでの清涼感は、すでにどこへやら。太陽が照りつけ、アスファルトがじりじりと熱を放つ。暑い。暑い暑い暑い暑い。もう何度も繰り返しているが、暑いものは暑い。しかし、それでも前に進まねばならぬ。へばっている暇はない。うだるような夏の昼下がりではあるが、一歩一歩、しっかりと歩を進めていく。それが人生。暑さに負けてなるものか。気張っていこう

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