上田市「十一屋」『地元民仕様(に見える)』素晴らしいお店


【お店のデータ】
居酒屋 十一屋
所在地:長野県上田市吉田319-2 [地図はこちら]電話 :0268-23-1008
営業時間:11:30~13:30、17:00~22:00
定休日:水曜

「地元民しか行かないような、安くて美味しいお店を教えてくれない?」
「そんないい店はないし、あっても教えねーよ。バーーーカ」

長野に越してきて19年になる。
最初の1年のみ松本であったが、その後はずっと長野へ居住している。
おかげで土地勘もそこそこ出来てきた。東北信限定ではあるが。言葉もすっかり板についてきたとみえ、先だって東京の姪から
「いったいどこの国のひと?」
と訝しく顔を見つめられた。よほどおかしな言葉と感じたのであろう。信濃言葉は「ほぼ標準語」であると思っていたが、どうやら違うようである。

かようなわけで「ほぼ地元民」であると自負している。
ほぼ、とはいえ地元民であるからには観光客など絶対に寄り付かない店のひとつやふたつ知っていて当然である。長野市のあの店の「玉ねぎのロースト」は凄かった。そもそも発想が違うのだ。この店の中華もとんでもなかった「彩りのサラダ」など次元が違う。酸っぱくない「黒酢酢豚」辛くない「麻婆豆腐」「干焼蝦仁」があれほどうまいとは!!!

んっ?「あの店」「この店」と書くのはなぜか?なぜ黙っているのか?意地悪ではないか?とご憤激のみなさまにお答えしよう。

「そんないい店はないし、あっても教えねーよ。バーーーカ」

よい店は自分で探すのだ。自らの目と耳と足を使って探し出してこそ「良店」なのである。うっかり話してしまったがために混雑でもされては目も当てられない。

とはいえ
「あの店」「この店」だけで済ませるわけにはいくまい。そこでこちらを紹介することにしよう。

「居酒屋 十一屋」

なんだ。
あちらこちらで紹介されている店じゃないか。食べログにも掲載されている。
とクレームをいただきそうだが、いやここは完全に「地元民仕様」のお店なのである。

上田と松本を結ぶ国道143号線を西へひた走り、塩田を抜け築地バイパスの交差点を越え1.5kmほど行ったところにこの店はある。
店構えを観てほしい。「十一屋」という屋号こそ確認できるが、まるで廃業したたばこ屋ではないか。

おそるおそる中を伺うと、元雑貨屋という風情の店内は酒あり野菜ありその他商品が陳列……いや、放置されている。中尾彬のような強面のオヤジが一人店番をしている。
「やだな、怖いなァ」
とビクビクしながら見回すと、奥にもうひとつのドアがありそこが「居酒屋 十一屋」なのであった。

このつくりはやはり「地元民仕様」と表現するのが妥当であろう。
二つ目のドアを開くと、予想以上に明るく広い空間が現れる。
カウンターが3席ほど、四人掛けのテーブルひとつそして小上がりにテーブル3~4脚ほどの、居酒屋としてはそこそこな規模である。
大将とその奥方らしきわかい男女が切り盛りされているようだ。大将は先ほどの強面オヤジの息子さんなのであろうか。

目当ては日替わり定食である。
梅・竹・松の三種類が用意されているという。
各々500円、700円、1000円という素晴らしい金額設定である。
値段も去ることながら、内容が素晴らしい。

梅:マカロニサラダ・マグロのブツ切り・春まき
竹:さしみ(マグロ・ブリ)・ブリ大根・イワシのフライ
松:マグロ丼・マカロニサラダ・ブリ大根

典型的な「和テイスト」定食である。
日によりけりで洋食系も入ることがあるようだが、本日は魚中心である。
さぁ、どれを喰らうか、オレはなにを入れたいのだ。

様々な逡巡と試行錯誤、優柔不断の果てにいきついたのが竹700円である。
中を選択してこその大人、謙虚であり奥ゆかしさを発露してこその日本人である。あらためてメニューを確認してみよう

竹:さしみ(マグロ・ブリ)・ブリ大根・イワシのフライ

さしみはマグロ三切れブリ二切れ。新鮮でプリプリしている。
ブリ大根というメニューはそもそもアラで作るものと思っていたが、こちらは立派な「身」である。多少血合いは入っているものの、大きなブリの塊と面をしっかりとった大根の見事なコンビネーションによって別の次元に誘われているかのように思えるほどだ。
そしてイワシフライ。
25センチほどの「大羽」といわれるサイズを使用したものとみえ、大変大きなイワシフライである。ソースをたっぷりとふりかけ、大胆に噛みしめると、熱い肉汁がほとばしる。うまい。新鮮なるがゆえに、まったく臭みを感じない。ああ、至福の時である。

すべて食べつくすのに7分ほどかかったであろうか。
「おかわり」は別料金というので注文はしなかった。「大盛り」は無料とのことなので、次回は遠慮なしいただく事にしよう。

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小海町「どんぶりや 風とり」『普通』に美味しいカツ丼


【お店のデータ】
どんぶりや 風とり
場所:長野県南佐久郡小海町豊里2014-1 [地図はこちら]
電話:0267-92-3330
営業時間:[日~土]11:00~14:30(L.O)、17:00~21:00(L.O.20:50)、日曜営業
定休日:水曜日の夜

仕事で川上村まで遠征してきた。
のんびりのどかな地で気に入ってしまった。静かなのもよい。これで雪さえ降らなければ「住んでみたい」と思わなくもないのだが。だれかわたしに別荘を建て与えてくれる危篤な人物はいないか。

ここで昼ご飯とも考えたが店がない。
困った困った。こちらの視界に入らない、というだけで、絶無ではないのだろう。時分から外れていた、ということもあるか。

致し方ないので帰途へ。
道中何かあるだろう。だらだら下っていくと小海町の少し手前に店を発見。

「どんぶりや 風とり」

どんぶりものが主であるようだ。広めな店内には小上がりとテーブル席があったが、くつろぎすぎてしまいそうなので、テーブル席へとつく。
「風とり丼」
というのがおすすめというが、とろろがメインのようだが、現在の気分ではなかったのでパス。疲労のせいか甘いものを欲しているのだ。様々な逡巡と優柔不断の果てに注文したのは

「かつ丼セット ラーメン付き 950円」

アツアツごはんの上に、あまく煮つけられたカツがどっさり。安定した昔ながらのかつ丼、という表現が適切であろう。「うまいまずい」で言えば「普通」。しかしかつ丼のうまさとはこのようなものであると確信する。

識者によれば、ラーメンを吸い物がわりにするのはもってのほか!であるという。しかし、ラーメンとは本来スープのカテゴライズされるものであるとの説もある。だからラーメンセットでも文句を言われる筋合いはない。鶏ガラのあっさりスープとストレート麺は相性ピタリ。薄味でけっこうであった。

時間はだいぶ押してしまったが、満足な昼ご飯であった。「風とり丼」を食してみたい気もするが、彼の地まで参るのが大変すぎる。さすがにランチだけで小海まで行けない。またなにかの用事ができるとよいのだが。


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小諸市「自然の恵みそばと、カフェ 凱」さわやかな…


【お店のデータ】
自然の恵みそばと、カフェ 凱(Toki)
場所:長野県小諸市滋野甲591-1 [地図はこちら]
電話:0267-31-0927
営業時間:11:30~17:00(夜は完全予約制)、日曜営業
定休日:日曜日
駐車場:あり

昨年秋のこと
篠突く雨とまでは言わないが、決して少なくはない雨の中、他業である。10月も半ばをすぎた。夏は失せ消え、秋冬の気配が背後から少しずつ忍び寄ってきているのがよくわかる陽気だ。

あまり外に出たくはないが、仕事ゆえこればかりは仕方ない。後工程に支障がないのを幸として、時間をかけてゆっくり行こう。
須坂を抜け、菅平を越えるころには外気温5℃と表示された。寒いわけだ。今シーズン初めてエアコンディショニングを暖房に切り替えて走行していると、上田に差し掛かるころには、すっかり車内は常夏の状態といえる温度となってしまった。

寒いのに暑くてたまらない。
調子に乗って設定温度を上げすぎた。窓を開放、換気したが顔の火照りは収まらない。時分どきでもある。冷たいものでも食べて冷却しよう。ちょうど行く道に試してみたかった店がある。

「自然の恵みそばと、カフェ 凱(Toki)」

浅間サンラインの東部湯の丸インターと、小諸インターの中間くらい、道沿いのゆるやかな南斜面にひっそりとある、外壁全面を杉板で張り込んだ、一見では民家としか受け取れないようなデザインの店である。基本そば屋だが14:00からはカフェになるという。大きな屋根つきのデッキで飲むコーヒーは、さぞや美味しく感じられるであろう。いずれ、季節のよいときにお邪魔するとしよう。

内部は小さな厨房とそば打ち部屋があり、客席は広々したワンルームである。
大きな開口部からは、外光が差し込み明るい。この陽気でこの明るさなのだから、春夏は小気味好いほどのであろう。やはりそば屋よりカフェという表現が正当であろう。四十より少し前と見受けられる、若い男女が切り盛りしている。息のあった所業は、日差し以上に心地よい。ご夫妻であろうか。尋ねてみるか、とも考えたが先だって他所で間違えて、盛大に恥をかいたばかりである。余計なことは避けるとしよう。

メニューはもりそばざるそば天ざるなどスタンダードと、オリジナルと呼ばれるメニューがあるようだ。
オリジナルには春夏秋冬、季節替わりのものがあるようだが、「販売終了」と付箋がなされている。

初メニューは右上、といったのは井之頭五郎であったか。今回の注文は

「凱」Tokiのそば 1000円

『たっぷりの炒め野菜をいれた温かいつゆと、だしのきいた冷たいつゆに、冷水で締めたそばをつけてお召し上がりください』

という、どことなく稚拙な風ではあるものの、真面目一辺倒で誠実な文章に心を打たれたのもある。冷温双方を楽しむことができる、というのも気が利いている。

「出来上がるまで、あちらをお召し上がりください」
と、女性スタッフが指差した先にはサラダバーとドリンクバーがあった。

レタス、水菜、ベビーリーフにカットされたトマトが散らされた大きな鉢と、輪切りにされた茹でとうもろこし。そばの切れ端を揚げたものはクルトン替わりであろう。
ドリンクバーは冷たい烏龍茶とハーブティが用意されている。簡単なものだが、だからこそシンプルでうまいということもある。季節は外れたが、茹でとうもろこしがとろけるほど甘くて驚いた。

そして
「凱」Tokiのそば
である。

冷たいつゆはやや辛く、きりりと締まった味わいである。
温かいつゆには、軽く炒められた野菜類、ネギ、大根、にんじん、野沢菜、シイタケなどがどっさりと投入されている。ゆずの香りを効かせたのが一層個性を際立たせているようだ。

手打ちされたそばは、香り高く、細くそして固めに茹で上げられている。個性的なつゆどもと、堂々と対峙するかのような、どっしりとした存在である。

わずかではあるが、栗ご飯も供されていた。もち米の心地よい歯ごたえと、ほんのり甘い栗の存在感がとても嬉しい。ああ、本当に秋が来てしまった。

Tokiのそば
というのは、「時そば」にかけたものであろうか。会計の際、ひぃふぅみぃよぉとやってみようかとも考えたが、まったく通じず、恥をかくのもいやなのでやめておいた。


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長野市「燻製SAKABA峰家」どこまでも深く濃い味わい


【お店のデータ】
燻製SAKABA峰家
場所 長野県長野市北石堂町1390 2F [地図はこちら]
電話 026-228-7433
営業時間 [火~土] 17:00~23:00
定休日 月曜日・日曜日

「燻せばなんでもウマくなるんだよ」
と言ったのは友人のTであった。何も知らない、知っているはずもない背伸びしたい盛りの15歳。
当然こちらも15歳、生意気盛りで理屈こねたい15歳である。

「そんなことあるわけねーだろ?お前食ったことあるのかよ?バーーーカ!」

まったく、無知ほど大きな罪はない。
数年前、別の友人が作った燻製の数々、ゆで玉子、チーズなど簡単なものであったがその品々の美味なること。濃いのだ、深いのだ。日常的な飲酒はない方だが、つくづく

「あーーー!ジン飲みてー!」
と、思ったものだ。
燻製といって、スモークチーズくらいしか食したことのない小僧が言ってよい言葉ではなかった。Tよすまぬ。お前の住む方角に精神的な平身低頭をするオヤジひとり。

長々書いてしまったが、先だって先輩から連れて行って頂いたこちらの料理と出会い、上記の強く思い出したのである。

「燻製SAKABA峰家」

もともと料理好きであったマスターは、「好きが高じて」会社を早期退職。こちらを開店したという。
平成29年11月25日開店
この日はマスターご本人だけでなく、われら長野市民にとっても記念すべき日であると確信する。大袈裟に書いているようだが、それほど美味なのだ、深いのだ。

お通しとして出された大根おろしとしじみ汁。しょう油をサッとかけ、柚子胡椒をのせただけの大根おろしがなぜうまいのだ?しじみ汁?なぜこれだけしかないのだ?ドンブリで出しておくれ!という声は心中だけに留めておこう。今、大切なのは自己主張ではない、連れてきてくれた先輩の面子なのだ。

「スモーク3種盛り合わせ」

しっとりしたチーズ、ねっとりレバーは香り高くそしてワサビをのせたハムは凄まじくうまい。

「スモークソーセージ3種盛り合わせ」

お初の場所は様々な品目を、というコンセプトの注文なのだがこれが奏功した。ぶつッ!ぱりッ!じゅわ〜ッ!である。これほど旨味の深いソーセージは初めてかもしれない。

「豚ローススモークハムステーキ」

極厚!と冠された上におそらくサービスしてくれたのであろう、これほど厚いハムは見たことがない。熱い鉄板の上にパチパチと音を立てながら存するハムは、その形態と反してじつに繊細な味わいである。とろけるのだ。舌上で転がさずとも消え失せてしまう、そんな心持ちのする一品であった。ハムステーキ、といえば大藪春彦「蘇る金狼」であるがあんなにがさつな食い物ではない。別な次元であることは言うまでもない。

「スモークハムと玉ねぎのオムレツ」

オムレツといえば、薄く薄くカットしたプレスハムを思い出すが、こちらはそんなけちなものではない。ゴロンゴロンと投入されたスモークハムが、シャキシャキの玉ねぎとともに、とろんとろんの玉子に包まれるのである。ゴロンゴロンシャキシャキのとろんとろんなのだ。たっぷりケチャップも気に入った。

他にもいろいろと頂いたが、今回はこれくらいにしておこう。次にお邪魔するときは、酒ではなく勇気を持ってご飯を頂こう。ソーセージ、ハムステーキ、オムレツ。どれを取ってもご飯に合わないわけがない。勇気を持って大盛りを注文することにしよう。


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御代田町「岐阜屋」嗚呼、お母さんのチキンライス!


【お店のデータ】
店名:岐阜屋
場所:長野県北佐久郡御代田町御代田2770-1 [地図]
電話:0267-32-4129
営業時間:11:00〜20:00 不定休
駐車場:あり

世のオトコどもの大半はマザーコンプレックスがデフォルトなのだという。特に味つけに関しては、母親のそれから逃れられず、配偶者とのトラブルが絶えない、などという家庭がそこかしこにあるのだそうだ。

面白いことに、わたしにはまったくその気がない。その場その時の味わいをしっかり受け止めるのをテーマとしているためか?ぶっちゃけたところ、母親と同居していた時にナニ食べさせられていたのか、まるっきり忘れてしまってもいる。

「薄情もの」
と、いつぞや母親に詰られたことがある。

「鮭は甘塩以外みとめない」
と母に言ったら、うちはおばあちゃんの代から塩鮭が好きでお前たちにも塩辛いのしか食べさせたことがない。兄二人も塩鮭が好きだ!お前はなんて薄情なんだ。
……母と別居して25年が経過した。あなたの味から離れて25年。そんなもの忘れてしまったわい。まったくアホな母親である。

そんな薄情なわたしあるが、唯一忘れられない「母の味」がある。嗚呼、それはチキンライス。

わが家の土曜半ドン昼めしはニラ玉かチキンライスと決まっていた。家業が忙しく簡単に用意出来るもの、ということだったのだが、大好きなチキンライスに文句を言うはずがない。

大量の冷やご飯に大量の鶏肉(プレスハムということもあった)を投入し、大量のケチャップでべたべたに味をつける。咽頭部がいがらっぽくなるほどの酸味を楽しむのがわが家流であった。

家食だけではなく、外食でもチキンライスは人気者だったはずだが、いつの間にか見かけなくなった。近年に至りオムライス、ナポリタンスパゲティは復活したが、チキンライスは未だお隠れになったままなのが口惜しくてタマらない。
あーー!お母さんのチキンライス喰いてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!

御代田町に「岐阜屋」という食堂がある。

煤だらけのフォルム、油がじっとり染みついたインテリアは、この空間だけうっかり昭和の時代からタイムスリップして来たのではないか?と、本気で思わされるようなシブいお店である。

先だって、人を介してこちらの「揚げ焼きそば」の存在を知り頂いて来た。その時の写真をチェックしていたらメニューになんと!チキンライスがあるではないか!これは行くしかない。ちょうど佐久への用事もある。いざ、チキンライスを貪りにゆくべし。

母より少し年若であろうか、シワだらけのばーさ、いやおばさんの作ってくれたチキンライスはまさにイメージ通りの品であった。


大量に投入されたぷりっぷりの鶏肉、同じく大量の玉ねぎはどこまでも甘くシャキシャキ歯ごたえが小気味よい。何より嬉しいのは乱切りされたナルトである。いかにも「嵩増し部隊」然とした存在は、まさに「お母さんのチキンライス」を象徴したものといえよう。実母のそれにもナルトはもちろん、さつま揚げやらハンペンやらたくさん入っていたものだ。

レンゲでひとすくい。
ケチャップのべたべた感が素晴らしい。今様のあっさりなど味つけではない。ケチャップは大量だから価値があるのだ、と言わんばかりの投入量である。重いのだ、咽頭部がいがらっぽくなるほど酸味が強いのだ。うまい、うますぎる。

年末に母の元へ行く予定がある。
大した用事ではない、顔を見に行く程度のことである。先ほど電話で、当日の夕食にチキンライスを作ってくれ、と依頼したら

「面倒だからイヤだ」
とのこと。あゝ、また御代田町まで食べに行かないと。

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辰野町「まつくぼ」あるいは神の創りたまいし『ソースカツ丼」


【お店のデータ】
まつくぼ
場所 長野県上伊那郡辰野町羽場7831-7
電話 0266-41-1729
営業時間 [土・日]11:30~14:00 17:30~20:00
[平日] 11:30~14:00 ※平日夜はテイクアウトのみ 日曜営業
駐車場 あり

南信州への道行きである。
仕事ではあるが、すでに何度目かの訪問だ。自らの段取りの悪さが腹立たしい。とはいえ真っ青な空の下、気持ちよく参ろうではないか。ナニ仕事などすぐに終わるのだ。はてナニ食べて帰ろう。ローメン?ソースカツ丼?これしか知らないのが哀しいところだ。

そもそも
「ローメンとソースカツ丼しか知らない」
ことそのものがあってはならぬ、研究が足らぬ、人として生きる上での覚悟が足らぬ。
しかしながら、いくら嘆いたところで本日この場に間に合うわけもない。研究は今後の課題としてソースカツ丼とする。
しかしながら、『ソースカツ丼』を極めたわけではないのだ。
「明治亭」には行った。「ガロ」も堪能した。「ソースカツ丼界のニューウェーブ」ともいえる「蒼い塔」にも行った。しかし、山々はまだまだ連なる。ソースカツ丼の森はまだまだ深く続いているのだ。

ジャンルは決まった。
では『どこ』で食すのか。自ら持てる情報と、立ち回り先との道のりを検討。様々な思考の果てにこちらに決定。いや、今はここしかないだろう。

「まつくぼ」

行列のできる店と聞いたが、特に並ぶことも待つこともなくテーブルへに誘われる。昼少し回った時間であったのだが。日によって違うのであろうか。
メニューを覗くとソースカツ丼、チキン丼、カツカレー、とろろカツ丼とドンブリ専門店のようだ。いろいろと悩んだが『Theまつくぼな1品!』と冠された

「特製ソースカツ丼」1609円(税込)

に決定。優柔不断ゆえに「とろろ定食」にも惹かれたがここまで来てソースカツ丼食べないなどということはあり得ない。あってはならない。
店内の貼り紙に
「厚切り・揚げたてにこだわっているので20分ほどお待ち下さい」
とあるが、さほど待った感はなかった。せいぜい10分~15分といったところか。

黄金に輝くドンブリにデンと鎮座ましますトンカツは長径25cm、短径15cmほどの巨大な楕円形である。
ほぼドンブリに覆いかぶさるようなフォルムは、わざわざこのようにカットしたのであろうか、と思わされるほどきれいに、整然と配備されている。分厚なレモンと垣間見える千切りキャベツが、愛おしく感じられるのは、葉物と荒々しき肉塊とが美しく調和されているからである。

主役を制する前に脇役どもの紹介しよう。レタス、ワカメ、玉ねぎニンジンの千切りのシンプルサラダ。黄色いコーンが嬉しい存在だ。
漬物は白菜と瓜。瓜とは久しく出会っていないので妙に嬉しく感じられ、サクサクとした歯ごたえでうまい。みそ汁はネギ、豆腐、大根、ワカメなど具沢山、おかわり自由というだけで、とても豊穣な気にさせられる。
  

あらためてメインであるソースカツ丼を見つめる、いや睨め回すのだ。この美しく艶めかしいフォルムに刮目せよ。サクリと黄金色に揚げたてられたトンカツは、どこまでも大きく、特製ソースによって彩られし姿は、まさしく『神』が創りたもうた芸術とでも表現するべきか。

刮目せよ。
いざひれ伏すのだ。『神々しき』とさえいえる厚みに。2.5cmから3cm、いや八分から一寸ほどの、と言い換えよう。ほんのりと桃の肌と白き脂のバランスはやはりARTである。美しく、素晴らしい。

しかし、いくら神の創りたもうしARTでもこのままでは相対することができない。カツの半分を椀のフタに退避させると、あらためてこの威容に圧倒される。あゝ神に敵うものはない。カツに圧縮された千切りキャベツとソースをかけまわしたご飯の愛おしいことよ。

ソースは甘すぎず辛すぎず。なにより肉がうまい脂身が甘い。つい一口でいってしまいそうになるが、わが口に入りきらないほどのサイズに圧倒されるばかりである。