長野市「カリメーラ」特製メンチカツ

洋食

店名 カリメーラ

場所 長野県長野市西和田433-11

電話 026-244-7300

ジャンル 喫茶店、カフェ

バリアフリー入口に段差あり

駐車場 あり

食べたもの 「特製メンチカツ定食」880

 

「なにお前メンチ切ってるんだよ」

と、私に言ったのは同級生のHくんだ。中学校から一緒で、ただの一度も同じクラスになった事がないのだが、共通の友人を介して仲良くなり遊ぶようになったのだ。彼は背たけには恵まれなかったがなかなかの面構え、はっきり言ってかなりいい男であった。若い頃の天地茂からアクを抜いて上白糖を加え甘くしたような、といってもあまり通じないかもしれない。

その上そこそこ

運動神経もあったのでかなり目立つ子ではあった。甘いマスクにスポーツまぁまぁとなればモテてモテて仕方がなかった。などという事はなくまこと生憎なことに彼ほど女性から相手にされなかった人物はいなかったのではないか。まるっきり、というわけではないだろうが、ほぼ見向きもされなかったのは、彼から醸し出されるなんとも形容しがたい「ダサさ」は魅力というよりも笑いを誘われるものであったからに他ならない。

 

黙っていれはそこそこ様になるのに

余計なことを言ったりやったりして先生に叱られる。根は真面目でいいヤツなのに、ちょい悪に見せたくて45グラスをポケットに忍ばせていたり、アイロンパーマをあててきたり。

かといって

ドカン(上から下までぶっとく仕立てられているツッパリズボン)を買いに行くと悪いヤツに目をつけられるのが怖いといって、私にズボンを借りにきたり。そりゃ私は当時からデカくはあったが、仕立てが違うからただのブカブカズボンにしか見えないよ、と教えてあげたのにアタマが悪いから理解できなかったり。

 

そんな憎めないヤツでもあるから

よく遊んでいたのだが閉口なのはなにかと私に対して絡んでくること。難癖つけていろいろやらかそうとするのだ。もちろんふざけての事だが面倒くさくて仕方がない。だから私のような心穏やかなものにやっても面白くもなんともない。街にはツッパリ小僧が溢れているのだ。彼らに挑んで腕っぷしのよいところを見せてくれ。と何度も言うのだがそこまでの度胸はないのだそうだ。

なにがなにやら

という事でしかないが冒頭に記した

「メンチを切る」

なる言葉はその時知ったものである。睨みつける、というほどの意味で主に関西で使われているのだそうだ。

「ガンをつける」

という言葉は知ってはいたが、Hくんはこのような情報に敏い男ではあった。

 

「カリメーラ」

西和田の道沿いにある喫茶店兼レストラン。こちらは個人店のわりに駐車場が広く、安くて美味いメニューがたくさんあるためいつも混雑している。

平日はサラリーマン、休日は近所の家族連れで賑わっている。いつも1人の私はカウンターでじっくり昼ごはんと相成る。

 

「特製メンチカツ定食」880円

ご家庭用!というデザインの丸い洋皿に酸っぱいドレッシングがふりかけられこんもりと盛られた生野菜に大判のメンチカツが3枚。

これはけっこうなサイズだ

卓上の中濃ソースをたっぷりかけていただく。箸で真ん中から切り分けると肉汁ドバドバで美味いことこの上なし。ご飯を大盛りにすればよかったかと後悔してしまう。

 

「メンチ切る」と「メンチカツ」

を連想するなどわれながら単純ではあるが、その上「特製」が冠されているとならばHくんを思い出さざるを得ない。やはり彼は「特製」であったと思う。あと一歩の足りなさは芸術レベルであった。その後どのような大人になったのであろうか。20年以上前、まだ私が東京にいる時分、どこぞのお祭りにはまり込んでいる。毎年季節になるとマワシをつけねじり鉢巻でダサく飛び歩いているよ。と人づてに聞いたのが最後だ。

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