須坂市「海鮮蔵 魚魚魚 須坂店」鮮カツオとボラ二色丼

うまとくランチ

店名 海鮮蔵 魚魚魚 須坂店

場所 長野県須坂市大字井上1700-14

電話 026-246-4470

バリアフリー

駐車場 あり

食べたもの 「日替りランチ 茶碗蒸し付」770

 

私の次兄は

釣りが趣味で中学生のころからひとり釣行に赴くほどハマりこんでいた。数日前からスポーツ誌や釣り新聞、あるいは釣り宿に電話するなど情報を仕入れ(ネットなんかない時代だからね)、前夜となればよっぴて仕掛けを仕込み、午前3時という信じがたいタイミングで起床し、始発電車でいそいそ出かけるという、常ならば考えられないほどの勤勉さで高じていたものだ

 

幼い私も

毎度ではないが、ちょくちょく連れて行ってもらったものだ。朝早いのは昔から得意だったが、夜明け前の暗い時間帯に出かけ、人影まばらな始発電車の風景が、いつもとは違う風景がとても新鮮でならなかった。行く場所は大概、千葉県船橋市の原木中山。現在は想像できないほどの大都会であろうが、当時は江戸川沿いに釣り船屋が立ち並ぶ田舎町。そこでボートを借り、エサ用のゴカイを買い川に乗り出すのだ

 

狙いはハゼだから

さして難しい釣りではない。だから幼児を同行できたのであろう。釣れるときは楽しくてならないし、そうでない時は面白くはないが、周囲見渡し見知らぬ風景をただぼーっと眺めるのも悪くはない。天気のよいポカポカした日などはとても心地よい。ボートの縁に寄りかかってうつらうつらするのもよし

 

ある時

隣のボートに乗っていた妙齢の女性が、けっこうなサイズの魚を釣り上げた。大騒ぎの釣りだから、私同様の初心者未満であったろう。同伴の彼氏だか配偶者だかに手伝ってもらって引き上げたのは60センチは超えるであろう大魚である。

「兄いちゃんあれはなんて魚?」

「あれはボラ」

「お刺身にできるくらいだね」

「うん、そうだけどボラは臭いんだよ」

「へええ」

 

ボラは

河口など汽水域に生息する魚で、川底にある藻類を主なエサとしているので、どうしても水質の影響が大きく、身に独特の香りがつくとのよし。ただし、それは季節や、処理方法によってはとても美味い魚である、と知ったのはつい10日ほど前のことであった

 

「海鮮蔵 魚魚魚 須坂店」

久しぶりの魚魚魚だ。いつも混雑しているわりにオペレーションがいつまで経ってもよくならない。にも関わらずそこそこ安くて鮮度がよく美味い海鮮が出てくるから客足が絶えない。だから余計と混雑するという好循環なのか悪循環なのかが判断つかない状態が続いているので、なかなか行きつけないのが哀しくてならぬ。

本日はたまたま開店である11:00少し前に到達できたのでいそいそと入店。しかも、アレがあるではないか!よしコレを注文だァ!

 

「日替りランチ」605円「茶碗蒸し付」+165円

こちらのランチは605円という破格値だが、限定20食というしばりがあるため、すぐに売り切れてしまう。本日は早い時間帯なのでもちろんアリ。よしよし、そしてメニューは

 

『鮮カツオとボラ二色丼』

カツオはともかくボラですか?それは珍しい、イッてみましょう。せっかくだから茶碗蒸しつけちゃえ!おっとっと770円!予算から20円オーバーだが、まぁよいでしょう。+110円で酢飯?+165円で味噌汁があら汁になるだって?そういう魅力的な話題には耳を貸さないようにしているのだ。残念ながら

 

「茶碗蒸し」

品のよい茶碗に薄黄色のさらりトロトロの茶碗蒸し。香り立つ玉子がたっぷり。ナニはさておきエビがたくさん入っているのは好感度高し。ああかまぼこも入っているぞ。これは美味い楽しい素晴らしい

 

鮮カツオ

メイン料理の登場。カツオは『鮮』と冠されているだけあって、濃い紅色と皮身側の白色のコントラストがとても美しい。ぽてりとした厚みのある切り身は食べ応え充分。カツオもかなり香りのある魚だが、これは旨味以外感じない。

 

そしてボラ

というか初めて接したのだが、白身の魚なのだねぇ。こんなにきれいな色をしているんだ。こちらも紅白ではあるが、カツオとは反転している。紅色と白色が妙に艶めかしい。いやこれはエロいといっても差し支えないであろう。おお!くさくなんかないぞ!むしろさっぱりした味わいでとても美味いではないか!味といい色合いといいとてもセンスのよい丼であった

 

ボラという魚は

戦前くらいまでは庶民の間では身近な魚で、よく食膳に上がっていたのだという。出世魚でもあって関東地方では

オボコイナッコスバシリイナボラトド

とサイズごとに名前が変わっていく。ちなみに『イナ』は若い衆の月代の青々とした剃り跡をイナの青灰色でざらついた背中に見たてたことから、「いなせ」、『トド』はこれ以上大きくならないところから『トドのつまり』の語源となったと言われている。それだけ身近な魚種であったということだ

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