石川県鳳珠群「春蘭の宿」生かして活かして②

石川県

店名 春蘭の宿
場所 石川県鳳珠郡能登町宮地16-9 [地図はこちら]
電話 0768-67-2541
ジャンル 農家民宿
バリアフリー △ 入口に段差あり
駐車場 あり

ここまで

書く過程で調べたことを記録しておく。そうでなくとも忘れっぽいのだ。
農家民宿とは「農山漁村滞在型余暇活動のための基盤整備の促進に関する法律」に基づく施設で

「農家民宿業とは、施設を設けて人を宿泊させ、農林水産省令で定める農山漁村滞在型余暇活動に必要な役務を提供する営業をいう。」

そしてその役務とは

・農作業の体験指導
・農産物の加工又は調理の体験の指導
・地域の農業又は農村の生活および文化に関する知識の付与
・農用地その他の農業資源の案内
・農作業体験施設等を利用させる役務
・前各号に掲げる役務の提供のあっせん

要するに

都市部に住む自然に接したことの少ない人々(私もそのひとりだが)と農山漁村に住む人々とのふれあい、つまり都市と農山漁村との住民どうしの交流させ、都市部の人々には自然と過ごす豊かな余暇を、農山漁村には地域振興が図られる。かような目的をもっている。

かつて

村唯一の医院であった建物は主人が亡くなり息子さんも他所へと移住され、長い間放置されていた。南京下見張のかつての擬洋風建築、というか「となりのトトロ」に登場するさつきとめいの家を思わせる可愛らしい建築物だが、原型を留めるよう改修を施し、カフェや農家民宿として利用されている。カフェはかなり繁盛されているとのことだ。もちろん息子さんも自由に使ってよいという。

宮地小学校は

少子化のため、数年前に廃校となった。鉄筋コンクリート造2階建の校舎を解体しようとする行政を説き伏せ、改修を施してシニアあるいは家族向けの宿泊施設へと蘇らせた。体育館は地域の祭りでつかう大きな山車を収納するための施設となっている。そのほか、金沢らしい金の襖を残した家、漆塗りの見事な帯戸の家など、身震いするほど見事な運営だ。

そして何より

泊めていただいた春蘭の宿。平成になってからの建築だから古くはないが、その分多田さんの吟味しつくされた素材、そして素晴らしい技量の造作。玄関ホール床に使われた5.5間長さの杉材。居間の囲炉裏、高い吹き抜け上部の太い太い松丸太。目が眩むほどの展開だ。

以下は夕食の続きとなる。

「ヤマメの塩焼き」

ヤマメは清流に棲息し、釣ることそのものに困難を伴う。だからこそスポーツとして成立するのだ、という知識くらいはあるのでひょいと出てきたのでお訊ねしたら春蘭の里を流れる川で釣れたものだという。囲炉裏でじっくりと炙られたヤマメをアタマからバリバリと頂く。濃厚な自然の味わいが素晴らしい。

「二の膳」

野菜の炊き合わせが再度登場する。ほたての貝殻に乗せられた煮物類は大根、にんじん、ジャガイモといった根菜類。恐らく先と同じような味つけであろうが、味の染み込み方の違いのためか異なったジャンルを感じさせられる。

きのこの漬物はピリ辛風。きのこの利用法はこれほどバリエーションを持たせられるものなのだな。

天ぷらはふきのとう、カボチャそしてゴリ。ゴリとはハゼ科の淡水魚で、やはり前の清流で獲れたものだという。ここにはなんでもあるのだな。

食事はすべて

輪島塗りの膳で登場する。これは買ったものではなく各戸に残されていたものなのだとか。現在買えば一脚20万円はするそうだ。料理といい器といいすごいご馳走だ。

春蘭の里も

前々回の「蔵カフェ菜々」も双方に共通するのは愛情だ。人を愛し地域を愛し歴史を愛する気持ち。新しく便利なものも必要だが、古いもの、思い出深いものはなくしてしまえば二度と元には戻らない。多田さんは
「生かしてさえおけば人が使える。活かしてさえおけば人は戻ってくるのだ」
と蔵カフェ菜々のマダムと同様のことをおっしゃっていられた。様々なことを考えさせられた2日間であった。

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