店名 料亭 緒環
場所 長野県上田市長瀬2878-1 [地図はこちら]
電話 0268-36-4646
ジャンル 料亭
バリアフリー ◯
駐車場 あり
食べたもの 「鳥の滋養スープと山掛け膳」1700円
亡くなった私の父親は
素朴な質の人間であった。素朴というよりもpureに近いというか。非常にシンプルな世界観の中で生きていた。どんなものかというと、言葉よりも活字の方がすごい、映画は文芸作しか認めない、朝日新聞以外は認めない。
言葉として発するか
文字として可視化するかはあくまでもそのものの主張や思想を表現する手段にすぎないから優劣を決められるものではないし、映画も同様でジュリアン・デュヴィヴィエとピンク映画は同列に語られうるべきものだし、朝日新聞ばかりを信用してよいわけがない。自分の親をバカにするわけではない、じつに微笑ましいばかりで、少々気恥ずかしいものがある。というか、私は彼からの影響のもと育ってきたのだ。かなり独断と偏見、いや勘違いで出来上っていた人だが、そのあたりは彼の生い立ちに起因するものだから、ある意味で気の毒で致し方のないものといえる。詳細は記さないが、そういうものだと受け取っておいてほしい。
あ
彼の勘違いといえばもうひとつあった。
「西洋医学による薬品は毒物。漢方薬、生薬こそ信じうるものである」
まぁこのあたりは父親だけではなく、巷でよく耳にする素朴な自然信仰とでも言えばよいか。
西洋のものは由来がわからないからダメ。漢方薬は草木が元だから副作用もないし大丈夫。といいたい気持ちは理解できるが、用法を守ってさえいれば大概の薬品に害はないし、副作用の総合デパートと言われる副腎皮質ホルモン、ステロイドだって天然由来のもの。だから漢方薬・生薬みたいなものである。お父さん思い込みはいかんよ、と諭す前に亡くなってしまったからまぁいいか。
「料亭 緒環」
このあたりは旧丸子町になるのであろうか。こちらのお店にはまだ合併前にお邪魔した事があるのだがもう15年以上前のことになるのか。インテリアもメニューもすっかり忘れ果てていたから、ものすごく新鮮に感じた。
主要な客層が近在のマダムたちのようなので、薬膳と冠されたメニューが目立っている。健康がメインテーマの私のためにあるようなものだ。よしこれにしよう。
「鳥の滋養スープと山掛け膳」1700円
春半ば、気温もあがり心地よく。という陽気だから『鍋』とは酔狂と思われるかもしれないが、これがまた美味そうだったのだ。
“コラーゲンたっぷり滋養のスープは旨みたっぷり”
いきなり『たっぷり』が連続するのが微笑ましい。鶏がらと薬膳素材をじっくり煮込んだ贅沢なスープであるという。干し海老入りの国産鳥団子、生麩ナツメグやクコの実は血の巡りをよくしてくれる。
“身体にもお肌にもよい【滋養美肌鍋】です”
と高テンションの文章が小気味よい。
固形燃料で熱せられた小さな鉄鍋に、ところ狭しと並べられた具材たちが愛らしい。紅のクコの実、紫のナツメグ、絹ごし豆腐にキノコ類と身体によさそうなものばかり。そして極めつけは薬用ニンジン。朝鮮ニンジンとは言わないのか。ほんの小さな欠片のようなものだが、まぁ苦いこと。とはいえほっくりとした歯ごたえに癒されてしまう。
思ったより
長くなってしまったので、久しぶりの続きものとする。次回は少し短くなるが、まぁいーよね。
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