場所 長野県上田市吉田319-2
電話 0268-23-1008
バリアフリー ◯
駐車場 あり
食べたもの 「日替わりおすすめランチ 竹」1100円
生物は
何事につけ寄る辺がないと落ち着かないものだという。ネズミやゴキ◯リ、いやいやいや昆虫類、小動物類は家具の下や壁沿いを歩き回るものだ。虎やライオンだってなにもないところより森林や草深いサバンナを好み、万物の霊長たる人間は荒野や砂漠のど真ん中に放り出されれば、まともな精神状態ではいられなくなってしまうだろう
なにもない状態よりも
なにかに寄り添っていたいものだ。バスや電車では出来るだけ隅の方に行きたいし、道路を歩くときは知らず知らずのうちにラインに沿って行ってしまう。生物は空間を感じながらではないと生きていけない。すなわち、生きとし生けるものすべては自由を求めているはずなのに、結局はなにかに拘束されねばやってはいけない。なにやらエーリヒ・フロムっぽくなってきたが、まったく関係はない
「すみっコぐらし」
なるキャラクターが流行しているそうだが、みんな隅が好きなのだ。少してもなにかに寄り添っているのを好むのだ。できれば何かの影に隠れていたいのだ。私の息子など、なにかといえば机の下や押入れの中で本を読んでいたりしたものだ。あれは小学生の頃だったが、20歳を超えた現在でも同様なのであろうか。
国道143号線は
上田と松本を結ぶ幹線道路。松本といっても山道をくるくるまわって出る先がだいぶ手前の田舎道だが。…なにやら上田市民を敵に回しそうなフレーズを決めてしまったが、気にしないでもらいたい。その国道沿いにある元タバコ屋というか雑貨屋というか。
半分シャッターのしまった
風情はどうみても営業中にはみえない。ここはひとつ勇気を奮ってドアを開けると、ビールやら野菜やら乾物やらがおかれた昔ながらの「田舎の田舎の雑貨屋さん」だ。そしてその奥にあるドアを開けるとそこにあるのが
「居酒屋 十一屋」
詳細は不明だが、雑貨屋さんの一部を改装したであろう居酒屋さん。美味くてボリュームのあるランチが有名な店だ。「上田の隠れ家」ともいえるこちらにお邪魔するのは2年ぶりくらいか。当時から混んではいたが、一層人気が出てきたようで、その人波に迫力が見えるようになってきた。
メニューは
いろいろあるが、目当ては「日替わり」だ。基本は煮物、さしみ、揚げ物という構成で、梅・竹・松の3コースが用意されており、少しずつ内容やボリュームが変わっていく。欲張りな私が選択するのはもちろんこれだ。
「日替わりおすすめランチ 竹」1100円
さしみ
ポテトサラダ
ブリ大根
揚げ物
というじつに豪華かつ艶やかな定食だ。
さしみ
マグロ、ブリ、ホタルイカの3種。さっぱりマグロは赤身が3切れ、ブリはしっとり脂が美味くてならぬ。旬の味ホタルイカはねっとりと舌にまとわりついてくる
ポテトサラダ
はイモがゴロゴロしている方を好むが、こちらのポテサラは丁寧にマッシュされていて、舌ざわりがとてもよくて好きなのだ。
ブリ大根
ブリひと切れに大根ふたつ。いかにも小鉢ものといった風景だが、すさまじく完成度の高いひと品だ。丁寧に面を取られた大根は、箸で持ち上げるのが困難なほど柔らかい。いやこれはほぼ離乳食といえるほどで、味が染み染みで素晴らしい。そしてブリはゴロリとした量塊だが、箸でほろりと崩れていくのがよろしいのだ
揚げ物
イワシのフライ、エビフライ、カキフライというとんでもなくゴールデンなトリオとなる。
イワシはアジと違ってかなりクセのある香り・味わいだが、これはこれでよいと確信する。もう少し脂とろーりといった感じであれば最高であったが。
エビは細身ではあるが、かりかりッ!さくさくッ!とした食感とエビの旨みがぎゅぎゅッと詰まり切った最良のフライであった
そしてカキフライ。この磯くささがなんともたまらない。あああ生牡蠣喰いてーッ!
ここは隠れ家
表通りに面していながら、どこからも見えない気配も分からない。まさしく隠れ家である。じつに落ち着く気の休まる空間でいただくランチの豊穣たるや。久しぶりのご馳走に満足のひと時であった
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