店名 中華料理 大連飯店
場所 長野県長野市中御所2丁目15−11 アシスト長野マンションⅡ 1階
バリアフリー △ 入口に段差あり
駐車場 あり
この世に存在する無数の食材の中で
ナスほど美味いものがあるだろうか。いや、断じてない。ナスこそがこの地球上における、食の最終回答なのだ。煮てよし、焼いてよし、揚げてよし――たまには生でも、その瑞々しさと青くささがむしろ癖になる。まさに万能、オールラウンダー。天性の柔軟さと包容力を備えた奇跡の野菜、それがナスである
あの皮のつややかさを見よ!
食欲をそそる光沢。手にした時のしっとりした重み。まるで「今が食べごろ」とナス自身が語りかけてくるようだ。そしていざ火を通せば、その身はとろけるように柔らかく変貌する。スプーンで割けるナス。箸でつまむと、じゅわりと染み出す旨味。これはただの野菜ではない、食べるためにこの世に生まれてきた存在だ
ナスの最大の長所は
自己主張が控えめなところにある。トマトのような酸味も、ピーマンのような苦みもない。だからこそ、どんな出汁ともソースとも見事に調和する。味噌に染まればコクが深まり、醤油に染まれば和の美しさが引き立ち、トマトソースに包まれれば洋風の風味に化ける。これほど多国籍な顔を持つ野菜は、他にない
そして、油との邂逅
これがまた素晴らしい。ナスは油を吸いすぎる? いや、それこそが美味さの秘密なのだ。スポンジのような断面が油をしっかりと抱きしめる。その油に出汁やタレが溶け込み、ナスの体内にまで味が染み込む。炒めてよし、揚げてなおよし。天ぷら、煮浸し、揚げびたし――どれも甲乙つけがたい傑作揃い。皮のほろ苦さが、まるで苦みの効いたワインのように奥行きを与えてくれる
冷やしても良し
夏に漬けて冷やせば、それだけで一品料理。キリリと冷えたナスの漬物をかじれば、口の中に夏の風が吹く。汗をぬぐいながら、ポリポリと食べるあの幸福感は、日本の夏そのものだ。しかもナスは安価で、年中手に入る。主役にもなれば、名脇役にもなる。食卓の影にナスあり。まるで台所の名優だ
一口かじるだけで
ふっとどこか懐かしい気持ちになる。母の味、祖母の味。子供の頃の夕食、夏の縁側、お盆の記憶。ナスは、食べる者の記憶を呼び覚ます装置でもあるのだ
そんなナスを
今日もまたどうしても摂取したくなった。胃袋が、魂が、ナスを欲してやまない
ナス!ナス!ナス!
ナスに恋して、LOVE!LOVE!LOVE!
脳内は完全にナスで埋め尽くされてしまった。こうなってしまったら、もう止まらない。ナスを食べに行かねばならぬ。これは使命であり、義務であり、もはや避けられぬ運命である
というわけで
ナスを求めて街へ出た。旬には少し早いのだが、ナニ構うものか。美味いナス料理に季節は関係ないのだ。向かう先は、長野市の名店
「大連飯店」
かつては中御所の県庁通り沿いにあったが、現在は同じ中御所でも長野駅東口よりというか、ハローワークのすぐ近くに移転している。新店舗はコンパクトながらも、どこか温かみのある雰囲気が漂っていた
メニューには
定番のエビチリ、酢豚、ニラレバなど、魅惑的な料理が並んでいた。しかし、今日は浮気しない。初志貫徹、ナスを喰らうのだ。目指すはただ一つ
「マーボナス定食」990円
これは単品料理にプラス200円で定食化してくれるという、良心的かつ素晴らしき制度によって実現した品。注文すると、まずはサラダバーとスープが提供される
平日ランチや定食セットを
注文した人だけが享受できるこのサラダバー。内容は至ってシンプル。千切りキャベツと人参、木綿豆腐が並ぶ小鉢サラダ。そしてワカメと卵白のとろとろスープ。奇をてらわず、控えめな構成ながら、じんわりと身体に染み渡る。「胃を整える」という概念を形にしたかのような構成で、これだけでも満足感は高い
だが、お楽しみはこれからだ!You ain’t heard nothin’ yet!
このフレーズ、通じないだろうが気にしない
だって主役の「マーボナス」が登場したからだ!
赤く輝く餡の中に沈む、宝石のような具材たち。ピーマン、玉ねぎ、そして少しよひき肉が、絶妙なバランスで配されている。だが、その存在感をすべて打ち消すほどの量のナス、ナス、ナス!
油で下揚げされた
とろとろナスが、赤き大洋にたっぷり絡んでいる。あちら風のピリ辛味が、口内を火照らせながらも、止まらない。いや、ピリ辛どころではない。これはもう中辛から大辛の手前。汗をかきつつ、食べる手は止まらない。旨味と辛さの波状攻撃。これはまさに、「ナスの宴」と呼ぶべき一皿である
ご飯がどんどん進む
もはや茶碗一杯では足りない。おかわり……と思ったその時、目に飛び込んできたの
「バンバンジー」490円
冷たい蒸し鶏の上に、甘く濃厚なゴマダレがたっぷりとかかっている。気づけば、追加注文していた。運ばれてきた一皿は、まさに涼味の極致。千切りキャベツと一緒に頬張れば、味のバランスが爆発的に広がり、美味しさが1000倍に膨れ上がる
ナスを喰らい
バンバンジーを食べ、再びナスを食べる。まさに至福のループである
満腹!満足!感激!大幸福!
ナスよ、ありがとう。今日も素晴らしい時間をくれてありがとう。こうして、わたしのナス愛はさらに深まり、また明日もナスを求める旅に出るのだろう
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