店名 海鮮食堂 ぎょっこ
場所 富山県富山市桜町1丁目1-61マリエとやま 1階 フーホ
バリアフリー ◯
駐車場 なし
富山県に行ってきた
もちろん仕事であったわけだが、ぶっちゃけたところ、この地に訪れるのは今回で4回目である。といっても、そのうち2回は完全に遊び目的で、友人と牡蠣を食べに行ったり、家族で魚津の水族館に行ったりしたものだ。3回目にようやくお仕事編がやってきて、その時も少し打ち合わせをして、ついでにトンテキを食べて帰ってきただけという、滞在時間にすれば実にあっさりとしたものだった

今回はその時とは違い
いくつかの現場をまわり、いくつかの打ち合わせを重ね、また後日改めて集まって作業する流れになるという、左様なる「ガッツリ仕事」の内容である。体力的にシンドいといえばシンドいが、それはそれで楽しみでもあった。なにより、見知らぬ地を行くというのが絶妙なる緊張感をもたらしてくれて、仕事の張りにもなる
それにしても本当に便利な世の中になった
まったく知らない場所でもワンタッチで行くことができる。ネットを使えば、GoogleやYahoo!のMAP、さらには電車・バスの乗換案内まで、具合のよすぎる情報が簡単に手に入る。カーナヴィゲーションシステムが身近になってからは、未知の道路にビビることもなくなったが、その分、街並みの風情を楽しむ余地はやや失われた。モニターを見ながら運転に集中する、その連続だから、道中の面白みに欠けてしまうのも否めない。具合よくなることが、どこかを犠牲にする場合もあるもので、どちらがよいのかとふと考えてしまう

カーナビに導かれ自宅からおよそ3時間、なんとか現場に辿り着く
その場でいろいろと打ち合わせが続き、あれを見たりここに触れたりと、細かな点を詰めていく。ひと段落ついたところでメシでも喰って拠点に向かおうか、となったのだが、ここでまた別の案件が舞い込んできた。結果として寄り道が増え、拠点に舞い戻って再度の打ち合わせ。終わったのは18時を少し過ぎた頃。どうせこのまま帰宅しても、21時は超える。そんなら腹を満たしてから帰ろう。せっかくだから海鮮系がよい。富山駅前にある以前から目をつけていた店に行こう
「マリエとやま」
富山駅に直結する商業施設で、1987年開業でかつては国鉄の官舎があったらしいが、これはすべてネット情報だ。とはいえ建物の状態はよく、適時適切な改装が重ねられているのだろう。現在も各階で工事が入っているようだった
1階部分はいわばレストランフロア

いくつかの店が軒を連ね、中央に設置されたテーブルで様々な料理がいただける仕組みだ。さながらおしゃれなフードコートといった設えで、バーガーキング、銀だこ、サブウェイ、スターバックス、サーティワン、などのファーストフードチェーンから、トンテキ屋、中華、寿司屋まで揃っており、じつにバラエティ豊か。その中で私が目をつけたのが
「海鮮食堂 ぎょっこ」

“富山駅前で気軽に食べられる海鮮”とググると、上位に出てくる店。ぎょっことは「魚壷」と書くらしいが、意味・由来は分からない。カウンターの向こうでキャップをかぶった若いスタッフたちが笑顔でキビキビと動き回る溌剌とした姿が実に心地よい。こういう店は期待が高まる。料理の味にも直結すると、経験則が語っている


「ぎょっこ丼」1950円

店先には“当店人気No.1”と大きく掲げられた看板メニューで、富山湾で水揚げされた魚を特製だれに漬け込み、ドサリと丼飯にのせ、その上に魚の唐揚げを添えた豪快などんぶりである。刺身は「がんとぶり」と説明された。ブリの幼名らしく、関東でいうところのイナダになるのであろう

特製だれの内容は不明だが

醤油、みりん、白ゴマ、ショウガあたりがベースではないかと推測する。賽の目状に仕立てられた刺身との相性は抜群で、ひと口ごとに旨味がふくらむ

唐揚げは小ぶりのカマスをしっかり揚げ切ったもので

頭も身も骨も尻尾もすべて美味しくいただける。刺身のぷりっとした食感と、唐揚げのさくさく、かりかり、こりこり、ばりばりと歯ごたえが次々に変わる楽しさがあり、まるでひとつの丼の中で二役、三役をこなしているようだ。ご飯は出汁で炊き込んであるとのことだが、出しゃばりすぎず、ほどよい存在感で全体を支えている

汁ものは

味噌のノーマルバージョンと、イカスミのブラックバージョンから選べるという、ちょっとしたアトラクション付き。腹の黒い私は迷わずイカスミブラックを選んだ。ワカメと刻みネギだけのシンプルな具材だが、軽い塩気にほんのりと海辺を思わせる香りが漂い、嫌味にならない程度の風味がなかなかの傑作だった
添えられたホタルイカの沖漬けは

ほんの少しの量ながら圧倒的な存在感を放つ。つるりと口に入れた瞬間、富山に来た喜びを再確認させてくれる。もっとくれ、と心から思った

こうして幸せなる富山メシが終わった
仕事で訪れたはずなのに、最後は食の記憶ばかりが残ってしまうが、旅というのは得てしてそういうものだ。この地にはしばらく通うことになりそうで、また別の場所も開拓していこうではないかと思っている。次はどんな一皿と出会えるのか、少し楽しみでもある


