上田市「太郎茶屋 鎌倉 上田店」甘味処の甘い誘惑


面倒な方々

実の息子が言うと支障もあるし、お叱りをいただく場合もあるのだが、わが両親はいろいろ問題のある人物であるといえる。いや別に犯罪者だったり、反社会的勢力に属していたりするわけではなく、いたって普通な人びとである。具体的に列挙していくと長くなるので割愛するが、一般的に「めんどくさい」ジャンルに入るとだけ言っておこう。
しかしながら彼らとて人の子、美徳のひとつやふたつは持ち合わせている。中でももっとも美しく感じられ、私自身影響を受けているのが「差別をしない」「物事に公平」であることだ。とくに食べ物の差別・区別に関しては極端に毛嫌いしていた。両名ともに欠格家庭に育った関係上、その手の事でさんざんと嫌な目にあってきたためだという。まことに天晴れ、褒めてつかわす。などと言うと叱責されるだけだが、これは子々孫々受け継いでいくべき事である。そんなわけだから、様々なところに連れて行ってもらえたと思う。子どもだから悪所にいったり、さほど高級なところへ赴くわけもないから大した場所でもなかったろうが。

母について

とはいえ、これは母親の方だが一箇所だけ同行する事に、よい顔をしない場所があった。それはなぜか「甘味処」だったのだ。連れて行ってもらったことが皆無なわけではないのだが、2回あったかなかったか、というくらいだ。いつぞや上野の街角で見つけた甘味処で
「お母さん、お汁粉食べに行こうよ」
といったら極端に嫌な顔をされたことをはっきりと記憶している。別に汁粉くらいどうということはない筈だが。
今にして思えば、彼女には、かの場所は酒場と同じだったのだ。甘いもの好きで酒を飲まない("飲めない"のではない、家庭のために飲まなかったのだ)ものにとっては、唯ひとつたった1人になれる場所、飾らなくともよい場所だったのであろう。そんなところにうっかりと子ども連れていくわけがない。そんなこんなで、甘味処なる場所に行けるようになったのは、二十歳をすぎてからであろうか。

「太郎茶屋 鎌倉 上田店」

ということで今回は甘味処である。こちらは姫路発祥の「甘味と和の空間」をテーマとしたカフェで、全国展開されているという。以前は長野市川中島にあったのだが、一年ほど前に上田に移転された。

「なっちょ⁈限定 鎌倉甘味三昧セット」500円

一時的な限定のセットではあるが、じつに豪華なコンビネーションである。

◯鎌倉わらびもち

本わらび粉を使用し、毎朝丁寧に練り上げたものだという。ほんのりとした甘さと、固体と液体の中間領域、といった歯ごたえ口ざわりがなんともいえない。

◯麩まんじゅう

まんじゅうの一種だが皮が違う。通常は小麦粉で作るものだが、これは生麩を用いて作り上げたもの。しっとりとした食感と、独特なモチモチ感が素晴らしい。

◯本日のアイス「苺のアイス」

苺の酸味、つぶつぶ感が小気味良く美味い。ただ、気温のせいか冷たくて固く、少々食べづらかった。

◯本日のプリン「ほうじ茶プリン」

ほうじ茶の香ばしさがなんともいえない。小豆も気が利いていてよい。

という4種類を熱いコーヒーとともに、ゆっくり楽しませてもらった。味わいも良い、落ち着いた和の空間もよい。以前よりは狭くなったが、これくらいのボリュームの方がよかったのではないか。

以上久しぶりの甘味処であった。
いずれ母が来た時に連れてきてやろうかと考えた。

 

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長野市「ケーキ屋Sun」メロンのまんま


【お店のデータ】
ケーキ屋Sun
場所 長野県長野市三輪4-4-1
電話 026-217-8231
駐車場 あり

誕生日

家内が誕生日であるという。実際には4日ほどのちの事であるが、そんなものは誤差のうちであろう。
めでたい、と素直に言ってよいのかどうかは定かではない。若者たちのように、はしゃいでよい年齢でもあるまい。とはいえ、さしたる病もなく、障害もなく50数年これた事は、少しは寿いでやっても罰は当たらないであろう。あくまでもほどほどに。

彼女は、昔から装飾品、調度品、過度な服飾品など、飾り立てるものを好まない。いや、反対にそれらが大好きで、あれがいいこれがいいと、要求されても困り果てるだけなので、助かってはいるのだが。どうせくれるのなら、その場で消費できるものが良いという。すなわち食品類、大概はケーキ、デザートの類を求められる。

ミルキークリームロール

ケーキ、といえば近年出会ったものの中で、もっとも完成度の高いものが不二家の「ミルキークリームロール」であると確信する。

「ふ、何を言っているのだ。そんな俗なものが美味いわけがないであろう」
そのように言うものがいた。たしかに不二家ペコちゃんからは、「幼稚な子どもだまし」と受け取られても致し方ないであろう。
しかし、世の中かほどに甘くはないのだ。…いや甘いのだが、ミルキークリームロールは単なる甘さではない。
クリームがミルキーなのだ。
あの、不二家の古典的名作、ミルキーキャンディ。高濃度のコンデンスミルクの口あたりをよくしたような、千歳飴にも擬せられた、あのミルキー。
とはいえ、あまりの濃さに、ひとつ食べきるのが精一杯なミルキーが、クリーム化されるとじつに豊穣な味わいと化す、複雑な味わいが現出する。たかがロールケーキが、高高度なdesartとなる。バカにしてはならぬ、美味いものに聖も俗もありえない。入浴中を覗かれたペコちゃんが「ミルキー?」と叫ぶだけが能ではないのだ。

しかし、ミルキークリームロールを誕生ケーキにするわけもいくまい。いや、そうした事もあるのだが、何度も使える手段ではない。はてどうしようかと考えていたら、家内からこれがよいとリクエストがあった。なるほど、希望を叶えてあげるのがもっともよい。それに考える必要もない、となれば、それがベストであろう。

「ケーキ屋Sun」

本郷通り、三輪1,3,4,5丁目交差点を西へ曲がり、少し行ったところにある洋菓子店である。以前はドイツパンを扱う、評判の店だったと記憶するが、何年か前に変わられたようだ。使わせてもらうのは初めてだが、前以上に真面目で誠実な、美味しいケーキを作られている、との噂を漏れ聞いていたのでとても楽しみだ。

「メロンのまんま」

季節限定商品なのだそうだ。
1/2に切ったマスクメロンをくり抜き、中にスポンジケーキ、カスタードクリーム、生クリームを仕込み上に皮を取り除いたメロンを載せる。これ以上シンプルなものはない。

ミースの言葉

Less is more 「最小こそ豊かである」
と言ったのは建築家ミース・ファン・デル=ローエである。ガラスと鉄骨、タイルのみで作り上げた「ファンズワース邸」は、住みこなすにはよほどの覚悟と努力が必要だが、そこには現代人の求める「美」がある。

同様に、「メロンのまんま」も切り分けづらく、食べづらくはなはだ閉口ではあるものの、シンプルであるがゆえの美味さがある。これはなかなかの傑作と確信する。

ending

「お母さんは何歳になったのか?」
と、執拗に尋ねる息子を、ひたすら無視する家内。50すぎればいくつでも同じであろう、と思うのだが、そこは女心というものである。黙っておいてやろう。秋の気配が近づく夜長である。

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